金融市場NOW
インフレ圧力の高まりから悪化する米・ユーロ圏の景況感
2022年06月28日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
急速な金融引き締めを受けて、米・ユーロ圏の景況感は50を割り込む可能性も
- 高まるインフレ圧力から米・ユーロ圏の総合PMIが前月より悪化した一方で、欧米と比較して相対的にインフレ率が低い日本の総合PMIは前月より上昇。
- 海外からの入国制限緩和等を受けて、日本のサービス業景況感は大幅に改善。
- 利上げ継続により景気が減速するとの見方が強まりつつあり、今後景況感がさらに悪化することも。
米・ユーロ圏の景況感が前月より低下
S&Pグローバルが23日に発表した6月の米国総合PMI(購買担当者景況感指数、速報値)は51.2と5月の53.6から2.4ポイント低下しました。また、ユーロ圏の総合PMIも51.9と5月の54.8から2.9ポイント低下しました。一方、日本の総合PMIは53.2と5月の52.3から0.9ポイント上昇しました(グラフ1)。米・ユーロ圏では前年同期比で8%を超える高いインフレ率が景況感を低下させたとみられる一方で、米・ユーロ圏と比較して相対的にインフレ率が低い日本ではインフレが景況感の低下要因とはならなかったと思われます。
入国制限緩和により日本のサービス業が上昇
製造業PMIは米国が52.4(前月比-4.6)、ユーロ圏が52.0(同-2.6)、日本が52.7(同-0.6)といずれの国・地域も前月から低下しました(グラフ2)。ウクライナ危機の長期化などにより、供給網の混乱が続いていることが影響していると考えられます。サービス業PMIは米国が51.6(同-1.8)、ユーロ圏が52.8(同-3.3)と低下した一方で、日本は54.2(同+1.6)と前月より上昇しました(グラフ3)。日本では6月に海外からの入国制限が緩和されたこともあり、観光業を中心に景況感が改善したとみられます。
景気減速懸念から景況感は50割れも
ウクライナ危機の長期化を受けたエネルギー価格の高騰や供給網の混乱などにより、これまでと違い日本においても足元の価格上昇圧力が高まっていることが報告されています。日本を除く各国・各地域の中央銀行が今後も利上げを継続する可能性が高いとみられており、景気が減速するとの見方が強まりつつあります。世界的に継続的な利上げが予想されることから、今後景況感は好不況の境目となる50を割り込む可能性もあると思われます。
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