確定拠出年金での商品の選び方について

確定拠出年金のリスクとリターンについて理解し、自分に合った商品を選びましょう。

リスクとリターンの関係

ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンの原則を理解しましょう。

確定拠出年金の場合でも、資産運用の原則は一般の投資信託への投資の場合と同じです。残念ながら、資産運用に「うまい話」はありません。期待収益率の高い資産はリスクも高いというのが一般的な原則です。逆にいうと、高い収益を狙うためには、それに見合ったリスクを受け入れる必要があります。まずはこの原則を理解しましょう。

分散投資によってリスクが軽減

ただし、運用のしかたによってリスクを軽減することが期待できます。「分散投資」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。値動きのちがういくつかの資産に分散して投資をすると、効果的にリスクを軽減することができるのです(※1) 。

じっくり選んだひとつの商品で運用するのもよいですが、いくつかの商品に資産を分散することをぜひ考えてみましょう。そのときに大切なことは、「株式と債券」とか「国内資産と外国資産」のように、できるだけ値動きの異なる資産どうしを組み合わせることです。値動きの異なる組み合わせのほうが、分散の効果は大きくなります。「バランス型」といわれる投資信託は、この分散投資を行うようにあらかじめ設計された商品です。

  1. 複数の資産に分散投資すると、期待リターンは各資産の期待リターンの平均になります。その一方で、リスクは平均以下になることが期待できます。
    したがって、分散投資によってリスクあたりのリターンが向上し、効率的に運用することができるのです。

想定利回りについて考えてみよう

想定利回りとは

確定拠出年金は、加入者自らが商品を選ぶことができます。積極的に運用してより高い収益を狙いにいくことも、安全を優先して元本確保商品を中心に運用することも、すべて加入者に判断が任されています。

加入者が自由に運用できるとはいえ、老後生活の糧となる大切な年金資金ですから、やみくもにリスクを大きくとった運用は望ましくないでしょう。イチかバチかの勝負に出て、年金原資を大きく目減りさせてしまうのは避けたいところです。

ただしその一方で、まったくリスクを受け入れずに元本確保商品だけで運用していたのでは、効率的な年金原資の積み上げは期待できません。ローリスクはどうしてもローリターンだからです。

では、どの程度のリスクを受け入れて、どの程度の期待収益率を目指すべきなのかというと、これは意外と難しい問題です。最終的には個々人の投資に関する考え方にお任せするしかありません。

この難しい問題を考えるときに、ひとつの目安になるのが『想定利回り』ではないでしょうか。『想定利回り』とは、プランスポンサー(事業主)が年金制度を設計する際に用いている基準の利回りのことです。企業型の確定拠出年金制度では、企業が拠出した掛金を加入者(従業員)がある一定の利回りで運用できたものと『想定』して制度を設計しています。つまり、『想定利回り』以上で運用していかないことには、年金制度が想定している標準的な年金を満額受け取ることはできないことになります(※1)。

  1. 想定利回り以上で運用することがどうしても必要だというわけではありません。想定利回りに届かないことを承知した上で、あえてリスクをとらずに元本確保を重視するという投資行動も、もちろん意味があります。とくに、リタイアが近づいてきて運用に使える時間が限られている方などは、リスクをとらないことのメリットが大きくなるでしょう。

プランの具体例

想定利回りが2.5%であるようなプランを考えます。ある加入者にとってリタイア時の想定年金原資が120万円、この加入者のリタイアまでの期間(積立期間)を4年間とします(※1)。

この前提のもとで、想定利回りをつかって拠出額を計算してみましょう。

1年目の拠出金はリタイアまで1年間の運用期間があります。想定利回りが2.5%のプランでは、この4年間、拠出額を2.5%で運用するものと「想定」して拠出額を計算します。具体的には、必要となる年金原資が30万円だとすると、30万円を、1.025(102.5%)の4乗で割って(割戻し計算)、27.18万円という拠出額を算出します。 以下、2年目の拠出金は30万円を1.025の3乗で割って27.86万円、3年目の拠出額は30万円を1.025の2乗で割って28.55万円というようにして計算します。

確定拠出年金では、このように想定利回りで予め割引かれた額が拠出されます。逆にいうとこの加入者は、毎年の拠出金をすくなくとも2.5%以上の利回りで運用していかないと、プランが想定している120万円の年金原資を積み立てることができないことになります(※2)。

  1. 実際には、確定拠出年金では拠出は毎月行われますが、この例では簡単のために拠出は年一回であるとします。
  2. この例では簡単のために各年の拠出額が異なっていますが、実際の拠出額の算出にあたっては、年金原資と想定利回りで割引いた上で、各年の拠出額が均一となるように計算されることが一般的です。

資産の振り分け

自分の年金資産のうち、一定の割合を預金や保険などの元本確保商品に振り向けている場合には、投資信託などのリスク資産の部分で、より高い収益率を狙っていくことが必要になることがあります。元本確保商品が保証している利回りが『想定利回り』よりも低いことがあるため、これを補わなくてはならないからです。

定期預金利率=0.1%として計算
  自社のプランの『想定利回り』(%)
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5
定期預金の組入比率 0% 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5
10% - 0.5 1.1 1.7 2.2 2.8 3.3 3.9
20% - 0.6 1.2 1.9 2.5 3.1 3.7 4.4
30% - 0.7 1.4 2.1 2.8 3.5 4.2 5.0
40% - 0.8 1.6 2.4 3.3 4.1 4.9 5.8
50% - 0.9 1.9 2.9 3.9 4.9 5.9 6.9
60% - 1.1 2.4 3.6 4.9 6.1 7.4 8.6
70% - 1.4 3.1 4.8 6.4 8.1 9.8 11.4
80% - 2.1 4.6 7.1 9.6 12.1 14.6 17.1
90% - 4.1 9.1 14.1 19.1 24.1 29.1 34.1

たとえば、『想定利回り』=2.5%で設計しているプランの加入者が、資産の半分を定期預金(金利0.1%)に振り向けていた場合、資産全体として『想定利回り』(2.5%)を上回るためには、残りの半分の部分を、4.9%以上のリターンが期待できる資産に振り向けることが必要になります。

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