金融市場NOW
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて悪化する欧州の景況感
2022年03月29日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
インフレ圧力の高まりから金融引き締めが加速すれば、さらなる景況感の悪化も
- 日米の総合PMIが前月より改善を示した一方で、ウクライナ情勢の緊迫化を受けて地理的にも経済的にもロシアと近い欧州の総合PMIは前月より悪化。
- まん延防止等重点措置解除等を受けて、日本のサービス業景況感は大幅に改善。
- 金融引き締めが加速すれば、消費者の購買意欲が低下し、今後景況感がさらに悪化することも。
日米の景況感が前月より上昇
S&Pグローバルが24日に発表した3月の米国総合PMI(購買担当者景況感指数、速報値)は58.5と2月の55.9から2.6ポイント上昇しました。また、日本の総合PMIは49.3と3カ月続けて好不況の節目とされる50を割り込んだものの、2月の45.8から3.5ポイント上昇しました。一方で、ユーロ圏の総合PMIは54.5と2月の55.5から1.0ポイント低下しました(グラフ1)。
ユーロ圏は製造業、サービス業ともに低下
製造業PMIは米国が58.5(前月比+1.2)、日本が53.2(同+0.5)と前月から改善を示す一方で、ユーロ圏は57.0(同-1.2)と前月から低下しました(グラフ2)。サービス業PMIも米国が58.9(同+2.4)、日本が48.7(同+4.5)と上昇した一方で、ユーロ圏は54.8(同-0.7)と前月より低下しました(グラフ3)。ロシアによるウクライナ侵攻が続いており、ロシアへのエネルギー依存度が高く、地理的にもロシア・ウクライナに近い欧州の景況感が悪化したとみられます。日本は、まん延防止等重点措置の解除等を受けて、旅行や外食等への需要が高まるとの期待からサービス業の景況感が大きく改善したものと思われます。
金融引き締めペースの加速は懸念材料
ウクライナ情勢の緊迫化を受けたエネルギー価格の高騰などにより、日米欧ともに足元の価格上昇圧力がさらに高まっていることが報告されています。しかし、世界的にインフレ抑止のために金融引き締め傾向であることなどから、徐々にインフレ率は低下していくことが予想されます。ただし、金融引き締めペースが加速し、景気が減速する場合には、消費者の購買意欲が低下し、今後、景況感がさらに低迷する可能性も考えられます。
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