金融市場NOW
デルタ株まん延でさらに悪化する日本の景況感
2021年08月25日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
新規感染者増加等を受けて緊急事態宣言が長期化するかに注目
- 欧米の総合PMIが好不況の節目と言われる50を上回る一方で、日本の総合PMIは4カ月連続で50を割り込む。
- デルタ株の感染拡大により米国のサービス業景況感はピークアウト、日本はさらに低迷。
- 新規感染者数増加等により緊急事態宣言が長期化する場合には、年後半の景気減速も懸念される。
引き続き欧米と日本の景況感には大きな差
IHSマークイットが23日に発表した8月の米国総合PMI(購買担当者景況感指数、速報値)は55.4と7月の59.9から4.5ポイント低下しました。また、ユーロ圏の総合PMIは59.5と7月の60.2から0.7ポイント低下したものの、米国、欧州ともに好不況の節目と言われる50を上回る水準を維持しています。一方、日本の総合PMIは45.9と7月の48.8から2.9ポイント低下し、4カ月続けて50を割り込みました(グラフ1)。
日米のサービス業PMIが大きく低下
製造業PMIは米国が61.2(前月比-2.2)、ユーロ圏が61.5(同-1.3)、日本が52.4(同-0.6)といずれも前月からは低下したものの、50を上回りました(グラフ2)。サービス業PMIは米国が55.2(同-4.7)、ユーロ圏が59.7(同-0.1〉と50を上回った一方で、日本は43.5(同-3.9)と50を下回る水準となりました(グラフ3)。足元では、感染力が強い新型コロナウイルスのデルタ株により米国や日本で感染者数が顕著に増加しています。感染拡大を受けて、サービス業景況感は、米国は5月の水準から約15ポイント低下しピークアウト感が強まっています。日本は2020年5月以来の低水準となり、再び悪化基調を強めています。
緊急事態宣言長期化は懸念材料
日本などを中心に、デルタ株の感染拡大に歯止めがかかっておらず、一部の国では再びロックダウン(都市封鎖)等の制限措置を実施しています。日本では緊急事態宣言適用地域が21都道府県(予定)に拡大されており、緊急事態宣言を受けて人の移動が制限されれば、サービス業の景況感がさらに悪化することも想定されます。ワクチン接種が進展する中でも、新規感染者数増加を抑制できず緊急事態宣言が長期化する場合には、年後半の景気減速が視野に入ってくるものと思われます。
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