金融市場NOW
さらなる可能性に期待高まる バイオテクノロジー産業
2021年07月28日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
“ITの次に世界を変える分野”株式相場の次のけん引役に期待
- 将来の先進医療の中核を担う存在として、バイオテクノロジーのさらなる可能性に注目が集まる。
- 世界中が注目する医療・健康分野を中心にバイオテクノロジー産業の市場規模の拡大が見込まれている。
- バイオのさらなる可能性が注目され、バイオテクノロジー産業への投資が進む。株式相場の次のけん引役となる可能性も。
バイオテクノロジーの可能性に世界中が注目
今日、クローン技術や、遺伝子操作などに代表される“バイオテクノロジー”の発展が著しく、将来の先進医療の中核を担う存在として注目が集まっています。世界中で感染拡大が続く新型コロナウイルスの感染予防を目的に、米大手製薬会社ファイザーとドイツのバイオ製薬会社ビオンテックが開発したワクチンにも、ウイルスの遺伝情報(ゲノム)を伝える『メッセンジャーRNA(mRNA)』という最先端のバイオ技術が、30年近くにも及ぶ研究の末、ようやく使用されました。
近年、遺伝情報を解読し改変する技術も揃いつつあり、治療が難しいとされる遺伝病の予防や治療などへの応用に期待が高まっています。
医療・健康分野を中心に市場の拡大が期待される
2019年時点で4,364億ドルと試算されている世界のバイオテクノロジー産業の市場規模は、2026年には7,157億ドルまで拡大すると見込まれています。分野別では、最大分野である医療・健康分野の大幅な拡大が予想されています(グラフ1)。世界における人口増加や少子高齢化の進行を背景に、医療・健康は注目の分野であり、主要国の研究開発費は増加傾向にあります(グラフ2)。また同分野は、新型コロナウィルスの感染拡大による人々の安全や健康意識の高まりから、関心が高まっているとみられ、さらなる市場の拡大が期待されます。
バイオセクターは株式相場の次のけん引役に
バイオのさらなる可能性が注目され、バイオテクノロジー産業へ投資が進んでいます。一部の米企業は『バイオテクノロジーは“ITの次に世界を変える分野”である』とし、将来を見据えてバイオテクノロジー分野に積極的に投資を行っています。研究から技術の利用まで長年に及ぶため、医療・バイオロジーセクターは期待先行で上昇する側面もあるものの、IT(情報技術)セクターと比較しても高い利益成長が期待されており(グラフ3)、株式相場の次のけん引役となることも期待されます。
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