金融市場NOW
欧米の景況感と日本の景況感の差は依然として大きい
2021年07月27日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
足元の新型コロナウイルス新規感染者数増加が懸念材料
- 欧米の総合PMIが好不況の節目と言われる50を大きく上回る一方で、日本の総合PMIは3カ月連続で50を割り込む。
- 4度目の緊急事態宣言等を受けて、日本のサービス業景況感は依然として低迷。
- 感染者数増加が止まらない場合には、年後半の景気減速も懸念される。
欧米と日本で引き続き景況感に大きな差
IHSマークイットが23日に発表した7月の米国総合PMI(購買担当者景況感指数、速報値)は59.7と6月の63.7から4.0ポイント低下したものの、依然として50を大きく上回っています。また、ユーロ圏の総合PMIも60.6と6月の59.5から1.1ポイント上昇し、21年ぶりの高水準となりました。一方で、26日に発表された日本の総合PMIは47.7と6月の48.9から1.2ポイント低下し、3カ月続けて好不況の節目とされる50を割り込みました(グラフ1)。
日本のサービス業が50を下回る
製造業PMIは米国が63.1(前月比+1.0)、ユーロ圏が62.6(同-0.8)、日本が52.2(前月比-0.2)といずれも50を上回りました(グラフ2)。サービス業PMIは米国が59.8(同-4.8)、ユーロ圏が60.4(同+2.1)と50を大きく上回る水準となった一方で、日本は46.4(同-1.6)と50を下回る水準となりました(グラフ3)。経済活動の再開等もありユーロ圏のサービス業景況感は改善が続いているものの、先行して改善していた米国では改善が一服しつつあります。日本では、4度目となる緊急事態宣言等を受けて、再び悪化しました。
新型コロナウイルス感染者数増加が懸念材料
日本をはじめとして世界各国で、感染力が強い新型コロナウイルスのデルタ株の感染が拡大しつつあり、一部の国では再びロックダウン(都市封鎖)等の制限措置が採られ始めています。人の移動が制限されれば、サービス業の景況感は再び悪化することが予想されます。ワクチン接種の進展等により、感染者数増加を抑制できるかどうかが今後の日本のサービス業PMI改善のカギを握る可能性は高く、感染者数が減少しない場合には、年後半にかけて景気減速が懸念されるものと思われます。
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