金融市場NOW
気候変動対策 電気自動車(EV)関連投資が加速
2021年05月10日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
“気候変動サミット”を追い風に、EVシフトへの動きが一段と進む
- 世界の年間CO₂排出量のおよそ4分の1を占める輸送関連の排出を削減するため、クリーンエネルギーへのさらなる移行が急がれる。
- 2040年までに世界の乗用車の約6割がEVとなる見込み。EVが将来“自動車の主役”となることを見据え、自動車大手各社によるEV開発が進んでおり、今後も開発投資を強化していく見込み。
世界が協調してCO₂排出削減に取り組んでいく
人口の増加や経済発展などにともない、先進国のみならず新興国のエネルギー消費量が急速に増加していることなどを背景に、世界のCO₂(二酸化炭素)排出量は増加傾向にあります(グラフ1)。4月22日より2日間の日程で開催された米国主催の“気候変動サミット(首脳会議)”には40カ国・地域の首脳らが出席し、各国におけるCO₂の排出削減目標や、気候変動対策について情報共有がされました。今後は、『2050年にCO₂の年間排出量ゼロ』の達成に向け、世界各国がよりいっそう協調して排出削減に取り組んでいく見込みです。
サミットを契機にEV市場のさらなる拡大に期待
世界の年間CO₂排出量のうち、約4分の1を占めるのは輸送関連からの排出であり※1、なかでもガソリン車の走行中の排出が主因となっています。バイデン米大統領は、気候変動サミットにおいて、電気自動車(EV)の導入などの、クリーンエネルギー※2への移行を一段と加速させるよう参加国・地域に求めました。2020年の世界のEV販売台数は前年比43%増の324万台となりました。コロナ禍で自動車需要が激減し、新車販売台数は前年比で大幅に減少となった中においても、EVは大幅な伸びとなっています。世界のEV市場の拡大をけん引しているのは欧州と中国であり、国をあげた環境規制の強化や、政府による環境車購入への補助金、自動車メーカーによる商品ラインナップの拡充などが、EV購入を後押ししているとみられます(グラフ2)。
- IEA「Global energy-related CO₂ emissions by sector」
- 二酸化炭素などの有害物質の排出量が少ないエネルギー源
大手自動車メーカー各社がEV開発投資を強化
大手情報ベンダーは、2040年までに世界の乗用車販売台数のうち約6割をEVが占めると予想しています。EVが近い将来に“自動車の主役”になることを見据え、欧米の大手自動車メーカーが相次いでEV関連投資の計画を公表しています(表1)。
世界的に“脱炭素”シフトに向けた動きが加速していく中、世界各国の自動車メーカーは、今後さらにEV関連投資を強化していくことが予想されます。
表1:大手自動車メーカーがEV投資を強化
メーカー | EV投資計画 |
---|---|
GM | 2035年までにすべての乗用車のEV化を表明。2025年までに約270億ドルの投資。 |
トヨタ自動車 | 2030年に世界販売台数のうちおよそ半数をEV車に。中国のEV工場に約1,300億円の投資。 |
BMW | 2023年までにEV25車種を提供。2025年までに研究開発費約300億ユーロを投資。 |
メルセデスベンツ | 2030年までに新車販売の50%以上をEVに。今後5年にわたり、研究開発に約700億ユーロを投資。 |
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