金融市場NOW

2020年度 投資部門別株式売買動向

2021年04月19日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

2020年度の主な買い手は海外投資家と日銀

  • 2020年度の日経平均株価は前年度末比54.2%上昇。上昇率は約50年ぶりの大きさ。
  • 主な買い手となったのは海外投資家と日銀。日銀はETF(上場投資信託)を通じて約5.2兆円買入れ。株価急騰で、多くの部門が売り越し。投資信託は過去最大となる約3.0兆円売り越し。
  • 今後、株価の下落局面等では、2020年度に売り手となった部門が買い越しに転じ、株価の下支え役となる可能性も。

(1)2020年度の日経平均株価は50%強上昇

2020年度の日経平均株価は、コロナ禍を受けた主要国中央銀行による金融緩和策や、新型コロナウイルスワクチンの接種普及による景気回復期待等を背景に、前年度末比54.2%上昇しました(表1)。一時、約30年半ぶりの高値に上昇する場面もありました。

表1:主な投資部門別国内株式売買動向

(億円)

  • 出所:ニッセイ基礎研及びブルームバーグデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
主要投資部門 (買入-売却)2020年度 (参考)2019年度
銀行 -18,837 -4,073
  (内)信託銀行 -12,983 1,789
生損保 -4,495 -1,510
事業法人 -2,562 46,020
投資信託 -30,273 -15,535
個人 -28,407 -18,963
海外投資家 5,170 -9,346
日銀(ETF買入れ) 51,532 58,998
日経平均株価騰落率(%) 54.2 -10.8

(2)2020年度の主な買い手

グラフ1:日銀のETF買入れ動向

  • 出所:ニッセイ基礎研及びブルームバーグデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

主な買い手は海外投資家と日銀でした。海外投資家は約+0.5兆円となりました(表1)。買い越しは4年ぶりですが、金額はアベノミクススタート後の2012年度~14年度の年度平均の約5.8兆円に比べると低水準に止まりました。日銀はコロナ禍で株価が軟調な展開となった年度初頃を中心にETF経由で約5.2兆円買入れました。尚、日銀は3月19日の金融政策決定会合で、ETFの買入れ方針に関し、上限の年12兆円は継続する一方、原則年6兆円の目安は削除し、株価の動向に応じて柔軟に対応することとしました。今後は、株価が比較的安定して推移する場合には買入れを見送るケースが増えるものと思われます。

(3)2020年度は多くの部門が売り越し

グラフ2:投資信託の国内株式売買動向

  • 出所:ニッセイ基礎研及びブルームバーグデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

2020年度は株価の急騰を背景に、多くの部門が売り越しとなりました。信託銀行が約-1.3兆円と、7年ぶりに売り越しました。同部門に含まれる年金が、株式に対する高値警戒感等から持ち高を減らしたことが影響しているものと思われます。自社株買いの積極化で2019年度に約+4.6兆円と過去(統計が遡れる1981年度以降)最大の買い越しを行った事業法人は約-0.3兆円と売り越しに転じました。株価の戻りを待っていた投資家の解約売りが増加したこと等から、投資信託は約-3.0兆円と、売り越し額は過去(同上)最大となりました(表1、グラフ2)。

今後、株価の下落局面等では2020年度に売り手となった部門が買い越しに転じ、株価の下支え役となることも考えられます。

  1. 投資部門別株式売買動向:東京・名古屋2市場(1部・2部)と新興企業向け市場の合計
  2. 文書中の+は買い越し、-は売り越しを示す

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