金融市場NOW
東証 市場再編 投資の活性化に期待高まる
2022年02月10日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
プライム市場は1,841社でスタート、上場維持基準の緩さなどの課題も
- 東証は4月4日より、現在の4つの市場をプライム、スタンダード、グロースの3市場に再編。各市場のコンセプトや位置づけを明確にし、国内外の投資家から幅広く投資資金を呼び込むことが狙い。
- 市場再編による企業意識の改革で、さらなる投資マネーの呼び込みが期待されるも、課題は残る。
東証再編、国内外から投資資金の呼び込み
東京証券取引所(以下、東証)は4月4日より、現在の第1部、第2部、JASDAQ(スタンダード、グロース)、マザーズの4つの市場を、国際的な優良企業が集まるプライム、主に国内企業を対象にしたスタンダード、新興企業向けのグロースの3つの新しい市場に再編します(図1)。東証の市場再編の狙いには、各市場のコンセプトや位置づけを明確にすることで、投資家が企業価値を見極めやすくし、その結果、国内外の投資家から幅広く投資資金を呼び込むことがあるとみられます。
市場の肥大化が投資マネーを遠ざける要因に
東証が市場の再編を検討し始めた背景の1つには、東証1部に上場する企業数の肥大化という問題があります。東証が戦後に取引を再開した1949年当時の495社から、およそ70年間で東証1部の上場企業数は4倍超にも増加しています(グラフ1)。ロンドン市場(約450社)や、ユーロネクスト・パリ(約800社)*と比べても、企業数の多さが目立ちます。また、東証の上場企業のおよそ6割が集中する東証1部には、流動性の低い企業や成長性の低い企業も散見されます。近年では、外国人投資家からは『投資先を見極めにくい』との声が出ており、世界の投資マネーを東証1部銘柄から遠ざける要因の1つにもなっているとの指摘もありました。
- 各証券取引所のデータより。ロンドン市場はプレミアム市場の上場企業数
新市場の活性化には課題も多い
2021年12月末をもって企業の選定申請が締め切られ、現在の1部上場企業の約85%にあたる1,841社でプライム市場はスタートを切ることになります(グラフ2)。市場の肥大化が問題視される中、再編後も企業数にほぼ大差がないことから、基準の緩さや再編効果を疑問視する声も上がっているようです。 市場再編を通じ、企業の意識改革の向上や各市場の品質向上をめざし、国内外からさらなる投資マネーを呼び込むことが期待されるものの、新市場の活性化に向けて、多くの課題が残されているようです。
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