金融市場NOW
米国「二重の引締め」開始、出遅れが続く日本株
2022年05月16日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
米国株などと比較し、出遅れが続き割安な水準にある日本株
- 米国による「二重の引締め」開始が決定され、日本株も上値が重い展開が続く。
- 米国株などと比較し出遅れが目立つ日本株は割安とみられる水準に留まっており、一株当たりの利益も堅調。政府による政策期待などを背景に資金流入が期待される。
米国では大幅利上げとQT開始が決定
米金融当局は、高止まりするインフレ抑制のため、大幅な利上げとバランスシートの縮小(QT)開始を決定しました。「二重の引締め」が開始され、今後、更なる金融引締めペースの加速を警戒して、米国株は割高感が意識されやすいハイテク株などを中心に値幅の大きい不安定な相場展開が続いています。一方で米金融当局とは対照的に、日銀が緩和的な金融政策を維持しているにも関わらず、不安定な米国株の影響をうけ、日本株は上値が重い展開が続いています。各国の金融政策正常化への動きから、金利が上昇基調で推移し、主要先進国の株価も足元軟調に推移する中、日本株はドイツ株と並び出遅れが目立つ状況です(グラフ1)。
割安とみられる水準が続く
株価の割高・割安を判断する指標の一つである株価収益率(PER)は、コロナ禍による経済活動の制限で株価が下落したこともあり、直近1年平均でTOPIX(東証株価指数)が14倍程度、日経平均株価は18倍程度となっています。直近の予想PERは12倍程度(TOPIX)、14倍程度(日経平均株価)といずれも直近1年平均を下回っており、足元の日本株は割安であるとみることができます(グラフ2)。また収益面では、一株当たり利益についてはコロナ禍から急回復後、比較的堅調な成長見通しとなっています(グラフ3)。
本格的な経済活動正常化への期待
足元の円安の進行が、輸出関連企業の業績を押し上げる効果がある一方で、輸入価格の上昇が今後企業業績を圧迫するとの見方も出てきています。4月の東京都区部の生鮮品を除く消費者物価指数の伸び率は、約7年ぶりの高水準となりました。政府は上昇する物価への対策として石油元売りや中小企業などを中心とした支援策を打ち出しています。また、6月をめどに外国人観光客の新規受け入れを再開する調整に入ったと報じられています。7月の参院選を前に、本格的な経済活動正常化に向けた新たな経済政策や規制解除が打ち出される期待が高まり、出遅れ感の強い日本株への資金流入が期待されます。
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