金融市場NOW

金融機関 地方創生SDGs取り組みで重要な役割

2022年04月27日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

SDGs達成には地域経済における自立的好循環の推進が重要

  • 政府はSDGsの取り組みにおける重要キーワードの1つとして地方創生を掲げている。
  • 一部地方公共団体では、SDGs登録・認証等制度が開始されており、SDGsに積極的に取り組む地域事業者を金融機関がサポートする体制が整いつつある。

地方創生SDGs

政府は持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であるSDGs達成にむけて、SDGs推進本部を設置しています。当本部により公表されたSDGsアクションプラン(図1)では、持続可能なまちづくりによる地域活性化が重要であり、SDGsの取り組みにおける重要なキーワードの1つとして地域活性化(地方創生)が掲げられています。内閣府の地方創生SDGsホームページでは、地域活性化などをSDGsの理念に沿って進めることが、地方創生推進の原動力になるとしています。

図1:SDGsアクションプラン(抜粋)

SDGsを原動力とした地方創生、強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり

地方創生の推進

  • SDGs未来都市、地方創生SDGs官民連携プラットフォームを通じた民間参画の促進、地方創生SDGs国際フォーラムを通じた普及展開
  • 「地方創生SDGs金融」を通じた「自律的好循環」の形成に向け、SDGsに取り組む地域事業者等の登録・認証制度等を推進
  • ※SDGsアクションプラン2020より抜粋
  • 出所:内閣府「地方創生SDGs」HPよりニッセイアセットマネジメント作成

地方公共団体によって異なる取り組み

図2:登録・認証等制度のイメージ

  • 出所:内閣府「地方創生SDGs」HPよりニッセイアセットマネジメント作成

地方創生は、国が主体となるのではなく、地方公共団体等が主体となって取り組み、生み出された利益を地域に再投資するという「自律的好循環」によって推進することが重要と考えられています(図2)。2020年10月に内閣府から発表されたガイドラインでは、地方公共団体がSDGsに積極的に取り組む地域事業者を「見える化」し、地域金融機関からの融資などを受けやすい環境づくりのため、SDGs登録・認証等制度の構築を期待すると記されました。具体的には「宣言」「登録」「認証」の3モデルの中から、地域特性などに応じて制度を構築するとされ、多くの地方公共団体で既に制度が構築されています(表1)。

表1:主な登録認証等制度 構築地方公共団体

  • ※2022年3月31日時点
  • 出所:地方創生SDGs登録・認証等制度ガイドラインをもとにニッセイアセットマネジメント作成
都道府県 市町村 制度モデル 名称
宮城県 石巻市 宣言 いしのまきSDGsパートナー制度
栃木県 宇都宮市 登録 宇都宮市SDGs人づくりプラットフォーム
埼玉県 さいたま市 認証 さいたま市SDGs企業認証制度
埼玉県 春日部市 宣言 かすかべSDGsパートナーズ
神奈川県 横浜市 登録・認証 横浜市SDGs認証制度“Y-SDGs”
神奈川県 相模原市 宣言・登録 さがみはらSDGsパートナー制度
石川県 金沢市 登録 IMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズ
大阪府 富田林市 宣言・登録 富田林市SDGsパートナーシップ制度
広島県 東広島市 宣言 地方創生SDGs宣言制度
鹿児島県 鹿児島市 登録 かごしまSDGs推進パートナー

金融機関の取り組み

一部の地方公共団体や金融機関では、SDGsへの積極的な取り組みを行っている地域事業者を登録・認証し、優遇金利で融資する制度を創設しています。また、SDGsに積極的に取り組む企業へのヒアリングなどを通じてコンサルティングをおこない、SDGsへの取り組み姿勢を社会へ周知(見える化)する宣言書の作成サポートなどを行う金融機関が増えているようです。

また内閣府はSDGs登録・認証等制度などにより地域への資金還流や再投資を生み出すことを支援する金融機関などの取り組みを表彰する「地方創生SDGs金融表彰」を創設し、第1回表彰(3月)では5件の取り組みが表彰されました。今後、SDGsの取り組みには、地方公共団体や金融機関などが重要な役割を担っていくことが期待されます。

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