金融市場NOW

2020年度国内投資家の対外証券投資動向

2021年04月15日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

信託銀行(信託勘定)の外国債券買い越し額が過去最大に

  • 2020年度の国内投資家の対外証券投資動向は、外国株式が8.9兆円の売り越し、外国債券が13.3兆円の買い越しとなった。
  • 信託銀行(信託勘定)が外国株式を4.6兆円売り越す一方、外国債券を16.6兆円買い越し。何れも過去最大。同主体に含まれる年金のリバランス(資産入替え)が影響しているものと思われる。

(1)2020年度の対外証券投資動向

グラフ1:国内投資家の対外証券投資動向

  • 出所:財務省及びCEICデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

財務省の対外対内証券投資統計によると、2020年度の国内投資家の対外証券投資動向(買入額-売却額)は、外国株式(株式・投資ファンド持分)が-8.9兆円、外国債券(中長期債※1)が+13.3兆円となりました。外国株式の売り越しは7年ぶりで、その額は過去※2最大となりました。外国債券の買い越しは7年連続ですが、その額は2019年度の+18.3兆円から約27%減少しました(グラフ1)。

  1. 中長期債:償還までの期間が1年を超える債券
  2. 2005年1月より統計開始

(2)主要主体別の対外証券投資動向

外国株式については、信託銀行(信託勘定)がー12.1兆円、銀行(信託銀行を除く)が-4.6兆円と過去最大の売り越しを記録しました。一方、生保は+1.4兆円、投資信託は+3.7兆円となりました。投資信託の買い越し額は2017年度の+4.7兆円以来の大きさとなりました(グラフ2)。外国債券については、信託銀行(同)が+16.6兆円と過去最大の買い越しを行った他、投資信託が+1.2兆円となりました。一方、銀行(同)及び生保は売り越しに転じ、各々ー3.2兆円、-1.2兆円となりました(グラフ3)。

2020年度の世界株式(MSCIワールドインデックス、米ドルベース、配当込み)は前年度末比約52%上昇しました。上記信託銀行(同)の投資動向については、同主体に含まれる年金が、高値警戒感等から資金を株式から債券にシフトさせたことが影響しているものと思われます。

グラフ2:主要主体別の外国株式投資動向

  • 出所:財務省及びCEICデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:主要主体別の外国債券投資動向

  • 出所:財務省及びCEICデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

(3)豪州債券の買い越し額が大きく増加

2021年2月分まで発表されている財務省の国際収支統計によると、外国債券に関し、国内投資家が最も多く買い越したのが米国債で+3.8兆円、2番目が豪州債で+2.4兆円、3番目がイタリア債で+1.9兆円となっています(20年4月~21年2月合計)。米国債の買い越し額が前年同期比約70%減少する一方、米国債に比べて金利水準の高い豪州債は同約114倍と大きく増加しています。

  • +は買い越し、-は売り越しを示す

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