金融市場NOW
2019年度上半期日本の貿易収支 2期連続赤字
2019年10月28日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
中国向け輸出の減少等により2期連続の赤字
- 2019年度上半期(4月~9月)の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8,480億円の赤字となった。赤字は2期連続。輸出額が中国経済の減速等を背景に前年同期比5.3%減、輸入額は原油価格の値下がり等を受け同2.6%減。
- 8月に一時1米ドル105円台を突破した円相場は、現在108円台後半と円安傾向で推移。日本の貿易赤字が影響しているとの見方も。
(1)2019年度上半期の貿易収支は2期連続の赤字
財務省が10月21日発表した2019年度上半期(4~9月期)の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額は前年同期比5.3%(2兆1,224億円)減の38兆2,332億円、輸入額は同2.6%(1兆544億円)減の39兆812億円、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8,480億円の赤字となりました。赤字は2018年度下半期(1兆8,146億円)に続いて2期連続です(グラフ1)。
(2)中国向け輸出が前年同期比9.1%の減少
輸出額の減少は2期連続で、全体の約2割を占める中国向けが前年同期比9.1%(7,230億円)減ったこと(グラフ2)等が影響しました。中国向け主要輸出品の中で輸出額の落ち込みが目立ったのが半導体製造装置や自動車部品で、それぞれ前年同期比32.2%(2,029億円)、同27.1%(1,196億円)減少しました。半導体そのものも同9.8%(532億円)減っています。尚、自動車自体の輸出額は、中国の環境車規制の改正を受けてハイブリッド車中心に同31.2%(944億円)増加しています。
景気減速が続くEU(欧州連合)向け輸出も、EUからの離脱問題で揺れる英国向けを中心に減少し、前年同期比で2.7%(1,202億円)減りました。マイナスに転じるのは5期ぶりです。一方、米国向けは半導体製造装置や薬品等が伸びて、同2.3%(1,731億円)増加した(グラフ2)ものの、中国やEU向け輸出の減少額を埋めることは出来ませんでした。
(3)貿易赤字が続けば円安傾向が続く可能性も
米中貿易摩擦の過熱化等を受けて、8月に一時1米ドル105円台を突破した円相場は、米国の利下げによる日米金利差縮小観測等にも関わらず、足元は108円台後半と円安傾向で推移しています(グラフ3)。その要因の一つが日本の貿易赤字(注)であると見られています。中国経済は今後更に減速傾向を強めるとの観測もあります。貿易赤字が拡大するとの思惑で、円安・米ドル高が進むことも考えられます。
- 貿易赤字が増えると、輸入代金として相手国に支払う外貨が増え、円を売って外貨を買うことになるので、一般的に円安傾向になります。
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