金融市場NOW
2019年度上期の対外・対内証券投資動向
2019年10月15日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
国内投資家による海外の中長期債投資が高水準
- 2019年度上期(19年4月~9月)の対外(日本→海外)証券投資は前年度同期比19%減の10兆9,820億円の買い越しとなった。株式・株式ファンド持分への買い越し額が同76%減となる一方、中長期債は同31%増に。国内金利の低下で日本の国債による運用が難しくなったこと等が要因か。
- 対内(海外→日本)証券投資における株式・株式ファンド持分は549億円の売り越しとなるも、売り越し額は前期(2018年度下期)の4兆1,984億円から大きく減少。
(1)対外証券投資は10兆円超の買い越し
財務省の「対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)」によると、2019年度上期(19年4月~9月)の対外証券投資(国内投資家の外債や外株等への投資)は10兆9,820億円(月次データの合計、以下同じ)の買い越しとなりました。内訳は、中長期債が9兆6,553億円の買い越し、短期債が2,465億円の売り越し、株式・株式ファンド持分が1兆5,732億円の買い越しとなっています(グラフ1)。
(2)中長期債の主な買い越し主体動向
2019年度上期の中長期債の買い越し額は前年度同期比31%増加しています(グラフ1)。主な買い越し主体別では、年金基金の売買が含まれる信託銀行(信託勘定)が前年度同期比75%増の2兆7,541億円、生命保険会社が同52%増の2兆5,266億円、銀行が同38%増の2兆7,425億円、3主体合計で8兆232億円と、2016年度上期(8兆2,766億円)以来の高水準に達しています。2019年度上期は8月末頃にかけて国債金利の低下傾向が続きました。10年国債金利がマイナス幅を拡大させた他、満期までの期間の長い20年国債や30年国債の金利が一時0.2%を下回る水準まで低下しました(グラフ2)。日本の国債での運用が難しくなる中、為替リスクはあるものの、少しでも高い金利を求めて海外の中長期債に資金を投じる動きが強まったものと思われます。尚、上記3主体の2019年度上期の株式・株式ファンド持分への投資は702億円の売り越しとなっています。前年度同期(2018年度上期)は4兆3,116億円買い越していました。売り越しは2013年度下期以来です。
(3)対内証券投資は445億円の売り越し
2019年度上期の対内証券投資(海外投資家の日本債券や日本株等への投資)は445億円の売り越しとなりました。短期債の売り越しが影響しています。株式・株式ファンド持分は549億円の売り越しですが、前期(2018年度下期)の売り越し額4兆1,984億円比べて金額は大きく減少しています(グラフ3)。
金融市場動向
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