金融市場NOW
7月貿易統計 輸出が8カ月連続減少
2019年08月26日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
米中貿易摩擦の影響等で輸出の減少が続く可能性も
- 7月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出は前年同月比で8カ月連続の減少となった。輸出相手国2位の中国向けは5カ月連続で前年割れ。特に、半導体等製造装置輸出の減少が目立つ。
- 米中貿易摩擦や日韓関係悪化の影響等により、輸出の減少が当面続くことも考えられる。主要輸入品である原油価格の動向によっては貿易赤字が拡大する可能性も。
(1)輸出額は8カ月連続の減少
財務省が8月19日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)は、輸出額から輸入額を引いた貿易収支が2,495億円の赤字となりました。赤字は2カ月ぶりです(グラフ1)。
輸出は前年同月比1.6%減の6兆6,431億円で、8カ月連続の前年割れとなりました。輸出相手国として1位の米国向けは同8.4%増の1兆3,553億円、2位の中国向けは同9.3%減の1兆2,288億円でした。米国向けは10カ月連続の増加、一方、中国向けは5カ月連続で減少となりました(グラフ2)。中国に部品・原材料等を供給するシンガポールや韓国等のアジアの主要国向け輸出も振るいませんでした。
輸入は同1.2%減の6兆8,927億円となりました。全体の約10%を占める原油及び粗油は、1年前に比べ価格が下落したことで同10.0%減少し、輸入額を押し下げました。
(2)中国向けは半導体等製造装置の減少が目立つ
7月の中国向け輸出では、全体の約6%を占める半導体等製造装置が前年同月比で31.5%減少しました。中国向け輸出の同9.3%減少の内、2.4%は同商品によるものです。トランプ米政権による中国の通信機器大手等ハイテク企業に対する規制強化の影響等が出たものと思われます。米中貿易摩擦の過熱化懸念による消費者心理の悪化等を背景に、中国の新車販売台数は7月まで13カ月連続で前年同月割れとなっています(グラフ3)。その影響等を受けて日本からの自動車部品の輸出も同35.0%の減少となっています。一方、中国からの輸入はパソコンなど電算機類(含む周辺機器)が同16.7%増えたこと等により、同2.8%増の1兆6,125億円と3カ月ぶりに増加しています。
(3)輸出低迷が当面続く可能性も
米中貿易摩擦により中国向け輸出の減少が続く可能性があることに加え、今後、日韓関係の悪化による影響が出始めることも考えられます。輸出は当面減少傾向をたどるものと思われ、主要輸入品の一つである石油の価格動向によっては貿易赤字が拡大することも想定されます。
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