金融市場NOW
法人企業統計調査 経常利益大幅減
2020年06月04日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
設備投資は引き続き堅調、GDP(1~3月期)改定値は上方修正へ
- 財務省が公表した2020年1~3月期の法人企業統計調査で、全産業の経常利益が大幅減少となった。
- 外出自粛要請や入国制限などによる訪日外客の減少により、サービス業などを中心に減少が目立つ。
- 堅調な設備投資を受けGDP改定値は上方修正を見込むも、本格的な景気回復には時間を要するか。
経常利益がリーマンショック以来の大幅減少
6月1日に財務省が発表した2020年1~3月期の法人企業統計調査によると、全産業(資本金1千万円以上、金融業、保険業を除く)の経常利益が前年同期比-32.0%と大幅に減少しました(グラフ1-1)。4四半期連続の減少で、リーマンショック後の2009年7~9月期(同-32.4%)以来の下げ幅です。
サービス業などの非製造業を中心に減少が目立つ
内訳では、製造業が同-29.5%、非製造業が同-32.9%となっています(グラフ1-2)。非製造業のうち、飲食や旅行業などのサービス業(同-59.6%)や、百貨店やスーパーなどの小売業(同-38.0%)の減少が特に目立ちました。新型コロナウイルスの感染拡大による政府の営業、外出自粛要請や、海外からの入国制限などから訪日外客が大幅に減少したことが影響したものとみられます。製造業は、工場の操業停止による自動車・同部品の生産減少の影響を受け、輸送用機械(同-50.7%)が大きく落ち込みました。
GDP(2020年1~3月期)改定値は上方修正へ
国内総生産(GDP)改定値の算出に使用される設備投資は、2四半期ぶりにプラスに転じました(グラフ2)。新型コロナウイルス感染拡大にともない、医療用機器や在宅勤務推進によるテレワーク関連の設備需要が大きかったことから、業務用機器や電気機械(いずれも製造業)が大幅上昇となりました。堅調な設備投資を受け、6月8日に内閣府より公表される1~3月期GDP改定値は速報値から上方修正される見込みです。しかし、4月に発令された緊急事態宣言を受けた全国的な経済活動停滞の影響は、今後公表される4~6月期の経済指標でより鮮明になるとみられます。緊急事態宣言は解除されたものの、感染第二波が警戒される中、経済活動は感染拡大の前よりも抑制されていることから、本格的な景気回復にはしばらく時間を要するものとみられます。
金融市場動向
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