金融市場NOW
女性の就業者数増加へ
2019年08月23日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
『M字カーブ現象』に改善の兆しも
- 総務省が公表した2019年6月の労働力調査によると、女性の就業者数が3,000万人を突破した。
- 企業による女性の積極採用、地方自治体による積極的な保育所等の整備や定員増加等が奏功か。
- 女性就業者の定着には多様な働き方の実現と、能力や成果を評価する仕組み作りが必要となるか。
少子高齢化にともなう労働力不足は、近年の日本の深刻な課題の1つとなっています。政府は外国人労働者の受け入れ枠の拡大や、多様な働き方を実現していくための基盤づくりに力を入れ始めています。
総務省が7月30日に公表した2019年6月の労働力調査によると、女性の就業者数が比較可能な1953年以来初の3,000万人(原数値)を突破しました。注目点は、就業率が低下傾向となる35~44歳女性の就業率が77.8%と、過去最高となったことです。女性が出産や育児にともない職を離れることから、30~40代を中心に働く女性が減少することで就業率が下がる『M字カーブ現象※』に改善の兆しが見え始めています(グラフ1)。
- 日本における女性の世代ごとの就業率をグラフ化した際に表れる、アルファベットの「M」の形に似た曲線のこと。
女性の就業率の改善は、人手不足等を背景にした企業による女性の積極的な採用にともない、政府が育児休業期間の延長などの制度の充実化をはかったことや、地方自治体が積極的な保育所整備や学童保育の定員拡大などを行ったことが奏功したものとみられています。しかし、働く女性の多くはパートなどの非正規が中心となっており、女性雇用者に占める非正規職員・従業員の割合はおよそ55.0%と、男性(23.1%)と比べて2倍以上の開きがあるというのが現状です。
少子高齢化の進展による深刻な労働力人口の減少が見込まれるなか、今後、企業が安定的に女性雇用者を確保していくには、働く場所や時間を柔軟に選択できるテレワークシステムの導入や、正規職員・従業員との待遇格差を解消し非正規職員・従業員に安定的な雇用を提供していくことなどが重要な課題となりそうです。
女性就業者の増加にともない、企業の育児に対する理解の高まりなどから、働きやすい環境が整いつつあるようです。しかし、出産や育児等により、女性は一定期間労働時間が短くなることがあり、昇進時に男性に比べて不利になることもあるようです。今後の女性就業者の定着やさらなる就業率の上昇には、勤続年数や労働時間ではなく、各々の能力や成果を評価する仕組み作りが求められることとなりそうです。
金融市場動向
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