金融市場NOW
2019年春闘 6年連続賃上げ
2019年05月07日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
世界経済の先行き不透明感等から前年より小幅に鈍化
- 日本経団連がまとめた春季労使交渉の結果によれば、大手企業※の賃上げ率は2.46%となった。
- 昨年の伸び率を小幅に下回るも、6年連続で賃上げ率が2%を超えたのは、1994~1999年以来。
- 中西経団連会長は、働き方に合わせた賃金の引上げを呼びかけており、新たな賃金改定の仕組みが注目される。
経団連(日本経済団体連合会)は4月23日、2019年の春季労使交渉の1次集計結果を公表し、大手企業の賃上げ額は月額で8,310円増、賃上げ率(定期昇給とベースアップの合計)は2.46%となりました。米中貿易摩擦の激化を受けた世界経済の先行き不透明感などから、前年賃上げ率の2.54%から小幅に低下し、2年ぶりの鈍化となったものの、2%台の賃上げ率は6年連続となっています。6年連続で賃上げ率が2%を超えたのは、1994~1999年以来で、経団連は『賃上げの勢いは確実に継続している』と分析しているようです。安倍総理は2018年12月、消費税増税による景気の腰折れを防ぐため、経済界に積極的な賃上げを要請していました。月額7,000円を超える賃上げは2014年から継続しており、大手企業は直近5年間の累積で、月額の基本給がおよそ4万円増えることになります(グラフ1)。
集計対象となっている14業種を個別でみると、2020年の東京五輪・パラリンピック開催に向けた建設需要などから、『建設』が1万4,822円と、前年の上昇額より少なかったものの、前年に引き続きトップとなりました。続いて『自動車』の9,304円となっており、人手不足がより深刻である業種の上昇が目立ちました。2019年2月の有効求人倍率は1.63倍と、高水準であり(グラフ2)、今回の労使交渉の結果は企業の対応を映し出したものと言えそうです。
2018年5月に就任した中西経団連会長は、12月の定例記者会見において「賃上げは政府に要請されて取り組むものではない。」と発言し、働き方や仕事の変化に合わせた賃金の引上げを呼びかけています。今後、新たな賃金改定の仕組みが構築されるのかが注目されそうです。
金融市場動向
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