金融市場NOW
国際特許出願件数 アジア過半数に
2019年03月29日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
WIPO事務局長「2年以内に中国が米国を抜く」と予測
- 世界知的所有権機関(WIPO)が発表した2018年の国際特許登録の出願件数はアジアが躍進。
- AI関連などを中心に中国の勢いが増す。最先端技術を駆使するインド企業の出願増加も目立つ。
- トランプ米大統領は技術革新で急速に力をつける中国に対し、より一層警戒心を強める可能性も。
世界知的所有権機関(WIPO)が3月19日に発表した2018年の国際特許登録の出願件数は、アジア諸国・地域が初めて出願件数全体の5割を超えました。中国が前年から9.0%増の5万3,345件となり(グラフ1)、アジア全体をけん引しました。中国の習近平指導部が、2015年5月にハイテク産業に巨額の補助金を投じる「中国製造2025」計画を掲げて以降(表1)、人工知能(AI)関連などを中心に中国の勢いは増しており、直近ではトップである米国に迫っています。WIPOのガリ事務局長は、『このままいけば2年以内に中国が米国を抜く』と予想しています。
表1:中国は次世代情報技術を中心に力を入れている
中国製造2025 |
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次世代情報技術(次世代通信規格「5G」、半導体) |
高度なデジタル制御のロボット・工作機械 |
航空・宇宙設備(大型航空機、有人宇宙飛行) |
海洋エンジニアリング、ハイテク船舶 |
先端的鉄道設備 |
省エネ・新エネ自動車 |
電力設備(大型水力発電、原子力発電) |
農業用機材(大型トラクター) |
新素材(超電導素材、ナノ素材) |
バイオ医療・高性能医療機械 |
また、インドの出願件数の増加も目立っています。インドは2018年に1,200社を超えるスタートアップ企業※1が生まれ、現在は7,700社を超える企業が活動している※2と言われています。モディ政権が国策として掲げる「デジタル・インディア」の後押しもあり、「IoT(モノのインターネット)」など最先端技術を駆使する企業が増加しており、これらの企業の特許出願が多かったこともあるとみられます。
- 新しいビジネスモデルなどで急成長をめざす企業のこと。
- インドIT業界団体(NASSCOM)公表のレポートより
個別企業でみると、中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)を筆頭に、上位10社のうち6社を日中韓の企業が占めました。トランプ米大統領は中国の米国企業に対する知的財産権の侵害について批判をし、2018年は中国製品に対し度重なる制裁関税を課しましたが、技術革新で急速に力をつけてきた中国に対し、今後はより一層警戒心を強めることが予想されそうです。
- 当レポートは個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
金融市場動向
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