金融市場NOW
日本の工作機械受注 3ヵ月連続マイナス
2019年01月31日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
中国向け受注の低迷が影響か
- 2018年12月の工作機械受注額が前年同月比で18.3%減となる。マイナスは3ヵ月連続。
- 最大の市場である中国の失速が主な要因か。米中貿易摩擦と生産過剰の反動による緊縮策などが影響。
- 中国の低迷は、いずれ先進国等にも波及すると見られ今後についても注意が必要か。
日本工作機械工業会が1月30日に公表した2018年12月の工作機械※受注額(確報値)が前年同月比(以下同様)で18.3%減の1,355億2,200万円となり、2018年10月から3カ月連続で前年を下回りました(グラフ1)。長引く米中貿易摩擦を背景に、企業の投資を控える動きは継続しています。
- 工作機械は「機械を作る機械」「マザーマシン(母なる機械)」とも言われます。一般的には「切削、研削、せん断、鍛造、圧延等により金属、木材、その他の材料を有用な形にする機械」と定義されます。
特に、最大の市場である中国の失速が目立ちます(グラフ2)。スマートフォンなどの電気・精密向けの受注が前年同月比で大幅に減少となり、また、一般機械向けの受注も同様に落ち込みました。中国景気の減速にともなうスマートフォン需要の低迷や長引く米中貿易摩擦の影響に加え、これまでの生産過剰の反動による緊縮策などが要因とみられます。
中国市場の低迷は、これまで好調であった内需にも影を落とし始めているようです。内需は同9.8%減の571億5,200万円となり、2017年1月以来23カ月ぶりに前年実績を下回りました。引き続き人手不足を背景とした自動化や効率化、技術革新等への関心は強いものの、世界景気に対する懸念は根強く、特に、一般機械向けは21.3%減の214億5,300万円と、2018年の単月の受注額では最低となりました。
中国や内需が失速する一方で、米国向けは好調となりました。2018年12月の受注額は8.7%増の245億9,500万円となり、前年比で23カ月連続のプラスとなりました。トランプ政権による大型減税が功を奏し、企業が設備投資に積極的であったとみられています。
2018年年間での受注額は2年連続で過去最高額を更新しました。しかし、世界最大の市場である中国の低迷はいずれ先進国等にも波及するとみられ、今後についても、予断は許さず注視していく必要がありそうです。
金融市場動向
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