金融市場NOW
最近の原油価格動向
2018年12月04日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
需給バランスの悪化により原油価格の低迷が長期化するおそれも
- 世界景気減速懸念に伴い、原油需要が低下するとの見通し等から原油価格が直近の高値から20%以上下落。
- OPEC加盟諸国、ロシア等の原油生産国は減産を検討するも、原油の需給が均衡する水準までの減産が実施されるか不透明。
10月中旬以降原油価格は大幅下落
イラン制裁の再開により原油需給がひっ迫するとの懸念から、原油価格は上昇していました。しかし、中国・日本を含む8ヵ国・地域に180日間の禁輸の適用除外が認められたことや、IMF(国際通貨基金)が世界経済見通しを下方修正し、原油需要の減少が懸念されたこと、さらに投機筋の買いポジションの縮小が重なったこと等の影響から、原油価格は10月29日から11月13日まで12営業日連続で下落し、弱気相場入りのサインと言われる直近の高値から20%超下落した水準に入りました。【グラフ1】
2019年度の原油の需給見通し
EIA(米国エネルギー情報局)が2018年11月6日に公表した最新の見通しでは2019年度は供給が需要を日量約60万バレル上回る見込みとなっています。また、OPEC(石油輸出国機構)が2018年11月11日に公表した最新の見通しにおいて、2019年度は日量約136万バレルの供給過剰見込みとなっています。 【グラフ2】
現在の原油生産量
OPEC加盟諸国全体の原油生産量は協調減産が開始された2017年1月と同水準となっていますが、ベネズエラやイラン産原油の生産減少分を穴埋めすべく、2018年10月のサウジアラビアの生産量は2017年1月当時の水準と比べて、日量約70万バレル増加しています(足元では日量約120万バレル増加との報道もあります)。また、ロシアは日量約20万バレル増加した水準となっています。【グラフ3】
OPEC総会に注目
原油価格を維持したいと考えるOPEC加盟諸国は、12月6日に開催されるOPEC総会において、2018年末で終了予定である協調減産の期間延長を協議するものとみられます。トランプ大統領は「原油価格は依然として高い水準にある」と発言しており、特にサウジアラビアの対応に注目が集まりそうです。
協調減産が年内で終了することになる場合には、さらなる需給悪化が予想され、価格低迷が長期化する可能性が高まりそうです。
金融市場動向
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