金融市場NOW
足元の原油価格は堅調に推移
2020年06月17日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
OPECプラスによる協調減産と、世界景気の回復期待から原油価格も回復基調
- 4月中旬にマイナスを記録したWTI原油先物価格はOPECプラスによる協調減産や各国において外出制限等の措置が緩和されたことを背景に、大きく値を戻す。
- OPECプラスによる協調減産継続を市場は好感。
- 米国のシェールオイル生産量の減少も原油価格上昇要因。
一時マイナスを記録した原油価格は値を戻す
WTI原油価格は供給過剰や保管場所が不足するとの懸念から、4月20日に史上初のマイナスを記録しました。OPEC(石油輸出国機構)と非OPECの主要産油国で構成されるOPECプラスにおいて、大規模な協調減産の延長が合意されたこと、さらに欧米諸国において新型コロナウイルス感染拡大防止措置等が解除されつつあり、経済活動が正常化するとの期待感から、原油価格は足元では一時1バレル当たり40ドルを超え、3月のOPECプラスの減産交渉決裂時の水準まで値を戻しています(グラフ1)。
OPECプラスの協調減産が続く
4月のOPECプラスにおいて、5月と6月の生産量はトータル日量970万バレルの減産(2018年10月の生産量が基準、サウジアラビアとロシアの基準は日量1,100万バレル)が決定されました。サウジアラビアは6月の生産量を日量750万バレルとし、OPECプラスで合意した生産目標(日量850万バレル)から、さらに日量100万バレル自発的に引き下げました。回復し始めた世界の原油相場を支えるために、同国の生産量としては約18年ぶりの低水準に抑えたと言われています。なお、6月6日開催のOPECプラスのビデオ会合では、当初6月までとされていた日量970万バレルの協調減産を7月末まで1ヶ月延長することが合意されました。
経済活動再開による景気回復期待は原油高要因
各国において外出制限等の措置が徐々に緩和されており、景気回復期待が高まっています。足元公表されている各国の経済指標は米国の雇用統計をはじめとして、景気回復の予兆を示すものが多くなってきているように思われます。経済活動再開を受けて感染第2波のリスクが懸念されるものの、今後も景気回復を示す指標が増加すれば、原油価格は底堅く推移するものと思われます。
米国産原油の減産も価格上昇要因
世界最大の産油国である米国の原油生産の中心であるシェールオイルの採算ラインは1バレル40~50ドル程度と言われています。原油価格下落局面では採算が取れなくなるため、稼働する掘削リグ(地下に眠る石油・天然ガス採取用の井戸を掘る装置)が減少し(グラフ2)、原油生産量も減少が見込まれます。米国産原油の減産は需給バランスを改善させる要因の一つと考えられます。
金融市場動向
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