金融市場NOW

IMF世界経済見通し（2018年10月時点）

2018年10月15日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

米中貿易摩擦の激化が引き続き脅威

国際通貨基金（IMF）は10月9日に公表した最新の世界経済見通しにおいて、2018年の世界全体の成長率は前年比3.7％を見込み、前回7月時点の3.9％から0.2ポイント引き下げました。見通しの下方修正はおよそ2年ぶりとなっています。米中貿易摩擦の激化や新興国からの資本逃避などが世界景気の下振れリスクになるとし、世界経済は伸び悩むとの見解を示しました。以下、要約です。

  • 米国は、トランプ政権の減税による効果が引き続き底堅いとし、2018年の成長率は前回から据え置いた。2019年は、中国に対する報復関税第３弾を考慮に入れたうえで2.5％とし、前回から0.2ポイント下方修正した。
  • ユーロ圏は、2018年の成長率は0.2ポイント引き下げ2.0％とし、2019年は据え置きとした。ドイツの製造業を中心に受注や貿易量の減少が影響。
  • 日本は、堅調な企業業績を背景とした設備投資拡大などによる景気押し上げ効果から2018年の成長率を1.1％とし、前回の1.0％から上方修正した。2019年は0.9％のまま前回から据え置かれた。
  • 中国は、2018年は前回から据え置き、2019年は米国による報復関税の影響を踏まえ、前回見通しから0.2ポイント下方修正した。

表：IMF世界経済見通し（前年比）

2018年10月時点

単位：％ *1 インドは年度ベース *2 インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム *3 オーストラリアは2018年4月時点との比較 出所：IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成
  2017年(前年比) 見通し(前年比) 前回(2018年7月時点)との比較
2018年 2019年 2018年 2019年
世界 3.7 3.7 3.7 -0.2 -0.2
先進国 2.3 2.4 2.1 0.0 -0.1
日本 1.7 1.1 0.9 0.1 0.0
米国 2.2 2.9 2.5 0.0 -0.2
ユーロ圏 2.4 2.0 1.9 -0.2 0.0
ドイツ 2.5 1.9 1.9 -0.3 -0.2
フランス 2.3 1.6 1.6 -0.2 -0.1
イタリア 1.5 1.2 1.0 0.0 0.0
スペイン 3.0 2.7 2.2 -0.1 0.0
英国 1.7 1.4 1.5 0.0 0.0
カナダ 3.0 2.1 2.0 0.0 0.0
新興国 4.7 4.7 4.7 -0.2 -0.4
中国 6.9 6.6 6.2 0.0 -0.2
インド *1 6.7 7.3 7.4 0.0 -0.1
ASEAN5 *2 5.3 5.3 5.2 0.0 -0.1
ブラジル 1.0 1.4 2.4 -0.4 -0.1
ロシア 1.5 1.7 1.8 0.0 0.3
オーストラリア *3 2.2 3.2 2.8 0.2 -0.3

グラフ1：主要先進国の経済見通し（前年比）

出所：IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2：主要新興国の経済見通し（前年比）

出所：IMFのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

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