金融市場NOW
日銀短観(2018年9月調査)の概要
2018年10月04日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
大企業製造業は3四半期連続の悪化 景気の持続力にやや陰り
日本銀行が10月1日に発表した2018年9月の全国企業短期経済観測調査(短観、9月調査)は、これまでの景気の持続力にやや陰りが見られる結果となりました。足元の景況感は高い水準にあるものの、長引く原油高や今夏に相次いだ自然災害等の影響懸念が、企業の心理を冷やしたものとみられます。また、製造業を中心に米中貿易摩擦の激化懸念が重しとなりました。以下、ポイントです。
- 大企業製造業の業況判断指数(DI)は3四半期連続で悪化、前回調査から2ポイント低下しプラス19となった(表1)。3四半期連続悪化は、リーマン・ショック前後に6四半期連続で悪化して以来で、9年半ぶり。原材料価格の高騰により石油・石炭製品や繊維等の下落が目立った。トランプ米大統領の中国への追加関税措置などによる貿易摩擦の影響懸念等から、16業種中10業種が前回より悪化となった。
- 大企業非製造業のDIはプラス22と前回調査から2ポイント低下(表1)。相次いだ自然災害の影響や、人手不足にともなう人件費の上昇等が重しとなった。
- 大企業・全産業の設備投資(含む土地投資額)の意欲は引き続き旺盛。市場予想の中央値であった14.2%増を下回ったものの、前年度比13.4%増を見込む(グラフ1)。人手不足を背景とした省力化投資の需要が後押し。円安による収益改善が、設備投資にプラスに働く可能性も。
- 事業計画の前提となる大企業製造業の2018年度の想定為替レートは107円40銭と、前回調査から小幅に円安方向となった(表2)。足元の為替相場は企業の想定よりも大幅に円安・米ドル高の水準となっている。
表1:業況判断DI(2018年9月)
(「良い」-「悪い」、ポイント)
2018年6月調査 | 2018年9月調査 | |||||
最近 | 最近 | 先行き | ||||
変化幅(*1) | 変化幅(*2) | |||||
大企業 | 製造業 | 21 | 19 | -2 | 19 | 0 |
非製造業 | 24 | 22 | -2 | 22 | 0 | |
全産業 | 22 | 21 | -1 | 20 | -1 | |
中堅企業 | 製造業 | 20 | 15 | -5 | 13 | -2 |
非製造業 | 20 | 18 | -2 | 15 | -3 | |
全産業 | 20 | 17 | -3 | 14 | -3 | |
中小企業 | 製造業 | 14 | 14 | 0 | 11 | -3 |
非製造業 | 8 | 10 | 2 | 5 | -5 | |
全産業 | 11 | 12 | 1 | 7 | -5 |
表2:想定為替レートは前回調査からやや円安に
(円/米ドル)
2018年度 | |||
上期 | 下期 | ||
2018年6月調査 | 107.26 | 107.27 | 107.26 |
2018年9月調査 | 107.40 | 107.52 | 107.29 |
【 参考レポート 】日銀短観(2018年6月調査)の概要(金融市場NOW 2018年7月5日号)
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