金融市場NOW
家計金融資産 6月末1,848兆円
2018年10月02日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
8四半期連続増加 株価上昇が寄与
- 2018年6月末時点の家計の金融資産残高は、前年同期比2.2%増加の1,848兆円となる。
- 『株式等』の時価が膨らんだことに加え、引き続き『現金・預金』が増加したことが寄与。
- 政府は税制優遇措置等で“貯蓄から投資へ”の流れの推進を図るも、浸透にはまだ時間を要するか。
日本銀行が9月20日に発表した2018年4~6月の資金循環統計(速報)によると、2018年6月末時点の家計の金融資産残高は、前年同期比より2.2%増加の1,848兆円となりました(グラフ1)。昨今の株価上昇により『株式等』の時価が膨らんだことに加え、引き続き『現金・預金』が増加したことが寄与しました。『現金・預金』は46四半期連続で前年同期を上回っており、残高は過去最高を更新しました。引き続き家計の金融資産の過半を占めているという構造に変化はなく、政府が推進する“貯蓄から投資へ”の流れにはまだまだ時間がかかりそうです。
内訳をみると、『現金・預金』は前年同期比2.0%増の971兆円、『株式等』の残高は同8.8%増の203兆円、『投資信託』が同0.9%増の73兆円、『保険・年金等』は同0.4%増の523兆円となり、『株式等』の増加が全体をけん引したことがわかります。6月末の日経平均株価は3月末時点からおよそ4.0%高い水準にあり、この時価の増加が株式の時価の増加に寄与しました。
日本・米国・ユーロ圏の家計金融資産の構成を比較してみると(2018年3月末時点)、日本の家計金融資産に占める『現金・預金』の比率は約53%と、欧米諸国に比べて相対的に高くなっています(グラフ2)。政府はNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇措置を推進するとともに、2017年には金融庁に『家計の安定的な資産形成に関する有識者会議』を立ち上げ、高齢層のみならず若年層にもリスク性資産への投資を推進していこうとしていますが、今回の統計データを見る限り、“貯蓄から投資へ”の流れはまだ道半ばと言えそうです。
金融市場動向
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