金融市場NOW
法人企業統計 設備投資11年ぶりの伸び
2018年09月10日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
製造業を中心に投資を活発化
- 4~6月期の法人企業統計で設備投資が前年同期比で12.8%増となり、7四半期連続の増加となった。
- 自動車関連会社等の投資の活発化により、製造業がおよそ7年ぶりの伸びとなり、全体をけん引。
- 企業投資は今後も積極的になると予想されるも、米中貿易摩擦の影響については引き続き注意が必要か。
9月3日に財務省が発表した2018年4~6月期の法人企業統計によると、全産業(資本金1千万円以上、金融業、保険業を除く)の設備投資が前年同期比(以下同様)で12.8%増となり、7四半期連続の増加となりました(グラフ1)。伸び率はリーマンショック前の2007年1~3月期の13.6%以来、およそ11年ぶりの大きさとなっています。全産業の設備投資額は10兆6,613億円で、自動車向けや大企業の投資が活発となっているものの、今後の米国と関係国を巡る貿易摩擦の深刻化度合いによっては、企業の投資意欲が減退する可能性もあると考えられます。
設備投資の内訳は、製造業が同19.8%増となり、伸び率は約7年ぶりの大きさとなりました(グラフ1)。自動車関連会社が研究開発投資を活発にしたほか、前期同様、引き続き半導体や同製造装置向け部品の生産能力を高めようとする動きが全体をけん引しました。なかでももっとも上昇に寄与した業種は情報通信機械で、同66.1%増となりました。非製造業は、卸売業や小売業等で、駅周辺を中心とした再開発投資が活発となったことなどを受け同9.2%増となりました。企業の設備投資の原資である経常利益は、世界的な景気回復を受け、全産業で同17.9%増加の26兆4,011億円となり、過去最高を更新しました(グラフ2)。
今後については、非製造業は訪日外国人の増加に伴うホテル建設などの投資を引き続き積極化するものと見られます。一方で、けん引役である製造業は外需中心であり、米中貿易摩擦をはじめとする米国による追加関税の影響については注意が必要と見られます。
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