金融市場NOW
IMF世界経済見通し(2017年10月時点)
2017年10月13日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
世界経済見通しを上方修正
国際通貨基金(IMF)は10月10日に公表した最新の世界経済見通しで、2017年の世界の成長率見通しを3.6%、2018年は3.7%とし、7月時点の予想から上方修正しました。IMFは、先進国の投資や貿易の改善を評価する一方で、米国の規制や通商、財政政策、各国の中央銀行による早期利上げなどが今後の成長を阻む要因になるとしています。
- 米国は、政策が変わらないとの前提で2017年を2.2%、2018年を2.3%に上方修正しました。良好な金融環境や堅調な個人消費などを背景に中長期的には緩やかに成長するとしています。
- ユーロ圏は、2017年が2.1%、2018年は1.9%とし、7月見通しからそれぞれ0.2ポイント引き上げました。要因として緩和的な金融環境に支えられた域内需要の回復や、輸出の拡大を指摘しています。一方で、高齢化の進展や、一部の国の債務問題はリスクであるとIMFは警告しています。
- 日本は、2017年が1.5%、2018年は0.7%とし、7月の見通しからそれぞれ0.2ポイント、0.1ポイント上方修正しました。輸出が底堅く伸びたほか、経済・財政再生計画による景気への効果期待から見通しが引き上げられました。
- 中国は、当局が引き続き拡張的な政策を維持するとの見通しに基づき、2017年が6.8%、2018年が6.5%とし、ともに0.1ポイントずつ上方修正しました。
表1:IMF世界経済見通し(前年比)
2017年10月時点
2016年(前年比) | 見通し(前年比) | 前回(2017年7月時点)との比較 | |||
---|---|---|---|---|---|
2017年 | 2018年 | 2017年 | 2018年 | ||
世界 | 3.2 | 3.6 | 3.7 | 0.1 | 0.1 |
先進国 | 1.7 | 2.2 | 2.0 | 0.2 | 0.1 |
日本 | 1.0 | 1.5 | 0.7 | 0.2 | 0.1 |
米国 | 1.5 | 2.2 | 2.3 | 0.1 | 0.2 |
ユーロ圏 | 1.8 | 2.1 | 1.9 | 0.2 | 0.2 |
ドイツ | 1.9 | 2.0 | 1.8 | 0.2 | 0.2 |
フランス | 1.2 | 1.6 | 1.8 | 0.1 | 0.1 |
イタリア | 0.9 | 1.5 | 1.1 | 0.2 | 0.1 |
スペイン | 3.2 | 3.1 | 2.5 | 0.0 | 0.1 |
英国 | 1.8 | 1.7 | 1.5 | 0.0 | 0.0 |
カナダ | 1.5 | 3.0 | 2.1 | 0.5 | 0.2 |
新興国 | 4.3 | 4.6 | 4.9 | 0.0 | 0.1 |
中国 | 6.7 | 6.8 | 6.5 | 0.1 | 0.1 |
インド *1 | 7.1 | 6.7 | 7.4 | -0.5 | -0.3 |
ASEAN5 *2 | 4.9 | 5.2 | 5.2 | 0.1 | 0.0 |
ブラジル | -3.6 | 0.7 | 1.5 | 0.4 | 0.2 |
ロシア | -0.2 | 1.8 | 1.6 | 0.4 | 0.2 |
オーストラリア *3 | 2.5 | 2.2 | 2.9 | -0.9 | -0.1 |
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