金融市場NOW
日本の男女格差広がる
2016年11月08日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
過去最低の111位 「男女の所得格差」の順位が大幅に後退
- 2016年の「ジェンダー・ギャップ指数」で日本の総合順位は111位となり過去最低。
- 「男女の所得格差」の順位が昨年の75位から100位に大幅に下がったことが影響か。
- 男女ともに働くことのできる環境づくりには、制度のみならず、働き方および意識の改革も必要。
世界各国の男女平等の度合いを指数化した世界経済フォーラム(WEF)の2016年版「ジェンダー・ギャップ指数※」において、調査対象144ヵ国のうち日本の総合順位は111位となり、前年より10位順位を落とし過去最低の水準となりました(グラフ1)。「男女の所得格差」の順位が昨年の75位から100位に大幅に下がった影響が大きく、配偶者控除見直しを含む税制議論に一石を投じることも期待できそうです。日本は、健康や教育で順位を上げたものの、「経済」が118位と昨年から12位後退、「政治」は1つ上昇しましたが、順位は103位にとどまりました(表1)。
WEFは世界全体の傾向として、教育や健康では男女の格差縮小が進行したのに対し、経済では改善のテンポが滞っていると指摘しています。今回調査のペースが今後も継続したと想定すると、男女が経済的に平等になるには170年かかるとしています。
安倍内閣は成長戦略の柱の1つに「女性の活躍推進」を掲げ、2020年に女性の管理職比率を30%にすることをめざして、保育所不足の解消や育児休業中の給付の見直し等を行っています。しかし、日本の女性の就業率は欧米に比べて低く、管理職に占める割合も1割程度で欧米を大幅に下回っているのが現状です(グラフ2)。保育所不足の問題もありますが、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」との考え方が根強く残っているようで(内閣府調査)、まだまだ女性が働きづらい環境であるのかもしれません。
高い女性就業率と高い出生率を両立している国々は、「保育の充実」「女性の両立支援」に加え、「男性の両立支援」を重要な柱と位置づけています。男女ともにあたりまえに働くことのできる環境づくりのためには、制度を整えるだけでなく、働き方、考え方を変えていくことが必要かもしれません。
- 総合指数を構成する分野は、「経済への参加と機会(男女間の給与格差や管理職登用など経済活動への参加程度)」「教育到達度(教育機会の均等の程度)」「健康と生存(平均寿命など健康の到達度)」「政治への関与(政界への進出度)」の4分野。指数は、基本的に男性の実績に対する女性の実績で測られている。
表1:「経済」の男女格差改善が遅れている
分野 | 経済 | 教育 | 健康 | 政治 |
---|---|---|---|---|
指数 | 0.569 | 0.990 | 0.979 | 0.103 |
順位 | 118位↓ | 76位↑ | 40位↑ | 103位↑ |
金融市場動向
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