金融市場NOW

日銀短観(2016年9月調査)の概要

2016年10月07日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

大企業製造業 前回調査から横ばい

日本銀行が10月3日に発表した2016年9月(回答期間:2016年8月29日~2016年9月30日)の全国企業短期経済観測調査(短観)は、注目度が高い大企業製造業が6月の前回調査から横ばいだったものの、中堅・中小の製造業や非製造業が上昇したことから、全規模全産業では改善しました。円高の逆風は継続していますが、4月の熊本地震後の自動車産業の復旧、新興国経済減速の一服などが景況感を支えました。以下、概要です。

  • 大企業製造業の業況判断DI(景況感が「良い」(回答割合)から「悪い」(同)を引いた値)はプラス6で、前回(6月)調査と同様。横ばいとなるのは2四半期連続(表1、グラフ1) 。今回調査における大企業製造業の2016年度の想定為替レートは1ドル=107円92銭で前回調査より3円49銭ほど円高方向に修正されました(表2)。造船・重機等や生産用機械等を中心に、輸出採算の悪化から景況感が後退しました。
  • 非製造業は、大企業が1ポイント低いプラス18(表1、グラフ1)。台風などの天候不順の影響を受けた運輸・郵便が大きく悪化しています。円高は非製造業にも影を落としています。訪日客数は増加傾向にあるものの、円高により訪日客の消費に結びつきにくくなっていること等が響き小売りも前回から悪化しています。
  • 全規模全産業の16年度の収益見通しは前回調査より悪化。売上高計画は前年度比0.9%減、経常利益も8.1%減と下振れ。景況感は一服していますが、円高による収益圧迫懸念は輸出企業を中心に依然として根強いようです(表2) 。設備投資計画は前年度比1.7%増と前回調査の0.4%増から上方修正されています(表3)。

表1:業況判断DI(2016年9月)

(「良い」-「悪い」、ポイント)

*1 2016年6月調査比
*2 2016年9月(最近)比
出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメントが作成
2016年6月調査 2016年9月調査
最近 先行き
最近 変化幅※1 変化幅※2
大企業 製造業 6 6 0 6 0
非製造業 19 18 -1 16 -2
全産業 12 12 0 11 -1
中堅企業 製造業 1 3 2 1 -2
非製造業 14 15 1 10 -5
全産業 9 10 1 6 -4
中小企業 製造業 -5 -3 2 -5 -2
非製造業 0 1 1 -2 -3
全産業 -1 0 1 -3 -3

グラフ1:大企業および中小企業の業況判断指数の推移

大企業および中小企業の業況判断指数の推移グラフ
※2016年12月は2016年9月調査による先行き見通し
出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメントが作成

表2:想定為替レート(大企業・製造業)

(円/ドル)

※事業計画の前提となっている想定為替レート
出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメントが作成
大企業 2016年度
上期 下期
2016年6月調査 111.41 111.46 111.36
2016年9月調査 107.92 108.44 107.42

表3:全規模全産業の設備投資計画

(前年度比、%)

*3 2016年6月時点での2016年度計画
出所:日銀短観データを基にニッセイアセットマネジメントが作成
全規模合計 2015年度 2016年度(計画)   2016年度(計画)*3
製造業 9.1 6.1   6.0
非製造業 2.9 -0.6   -2.5
全産業 5.0 1.7   0.4

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