金融市場NOW
家計の金融資産が減少
2016年07月19日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
2015年度末は前年度末比で7年ぶりにマイナス
日本銀行が6月17日に発表した2015年度末(2016年3月末)の資金循環統計によれば、家計の金融資産残高は1年前に比べ0.6%減少し1,706兆円となりました。マイナスは7年振りで(グラフ1)、減少率は0.6%と低いものの、金額に直せば10兆円の減少になります。
減少の背景として、円安・株高の流れが一転して円高・株安に転じたこと、新興国等世界景気の先行き不透明感からリスク回避姿勢が強まったこと等があるようです。1月29日にマイナス金利が導入されたにも関わらず現金・預金は増加しました。株式等や投資信託の残高は2014年度まで3年連続で増加していましたが、2015年度はマイナスに転じています。日本銀行は「家計の金融資産の減少は、株式や投信の評価額の減少の影響が大きい」と説明しています。なお、米国の家計金融資産は年ベースで増加基調を続けています(グラフ2)。
家計の金融資産の大半を占める現金・預金は前年度1.3%増の894兆円となりました(グラフ3)。家計金融資産の構成比率を比較すると、日本は米国に比べて現金・預金の保有が多くなっています(グラフ3、4)。日本人は米国人に比べ現金志向が強いと言われており、円高・株安の進行を嫌気し、株式や投資信託を処分して預金などに移す動きがあったとみられます。
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