金融市場NOW
訪日客に勢い再び
2016年08月02日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
1人あたり消費額は減少傾向へ
日本政府観光局(JNTO)が7月20日に発表した2016年6月の訪日客数(推計値)は198万5,700人と前年同月を23.9%上回り、同月としては最高となりました(グラフ1)。2016年1月~6月の上半期訪日客も前年同期比28.2%増の1,171万人と、半期ベースの過去最高を記録しました。夏から秋にかけ訪日客が増える多客期を迎えるため、現在のペースが続けば年間2,500万人程度に達する可能性もあるとみられています。
6月の伸び率拡大のけん引役の1つに、中国などからのクルーズ船の来航ラッシュがあげられます。6月の外国船の寄港は156回と前年同月よりも77%増加しました(グラフ2)。また、熊本地震の影響が和らいだことも増加の要因としてあげられます。九州に近い韓国の訪日客は5月にマイナスに転じたものの、6月は38%増に転じています。市場別では台湾、香港、米国からの訪日客が単月として過去最高を記録しました。
訪日客は増加したものの、訪日客の消費は勢いを欠きつつあるようです。観光庁が発表した4~6月の旅客1人あたり消費額は15万9,930円と前年同期に比べ9.9%の減少と2期連続のマイナスとなりました。消費額全体のおよそ37%を占める中国人の慎重姿勢が目立ち始めており、高額な家電製品等の購入は減少傾向を強めているようです。これまでインバウンド消費が中国人頼みになっていたという側面もあるとの判断などから、観光庁長官は「特定の国、特定の状況に左右されない消費構造を作りたい」と語っています。今後、体験型観光施設を充実させるなど、多様な国籍の訪日客を呼び込むための取り組みが進むものと思われます。
金融市場動向
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