金融市場NOW

GDP600兆円に向けた成長戦略

2016年04月25日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

第4次産業革命で新市場創出

政府は19日の産業競争力会議において、『新3本の矢』でめざすGDP600兆円経済の実現に向け、新たな有望成長市場創出・拡大を目玉とする成長戦略の全体像(案)を示しました。

現在およそ500兆円の名目国内総生産(GDP)を2020年頃に600兆円にまで高めるために、ロボットやIT(情報技術)による第4次産業革命で新し い市場を創出することを柱に据えています。また、高度人材に永住権を認める体制も整備していく考えです。政府は600兆円に向けた「官民戦略プロジェクト 10」(仮称)をかかげています(下図)。

『(旧)3本の矢』により、円高、高い法人税、環太平洋経済連携協定(TPP)妥結の遅延等は解消の方向へ向かいつつあり、民間投資を生む環境は整いつつあるように思われます。

しかし、新たな有望成長市場の創出・拡大や、人材不足を克服するための生産性の抜本的な向上、新たな産業構造を支える人材の強化など、GDP600兆円実 現に向けてはまだまだ課題が残りそうです。また、各分野ごとに数値目標を置いたものの、実現に向けた具体的な道筋を示していくことも今後の課題になると考 えられます。

次期『日本再興戦略』(案)

出所:第26回産業競争力会議の資料を基にニッセイアセットマネジメントが作成
新たな有望成長市場の創出
官民戦略10分野 主な内容 数値目標
第4次産業革命
  • 自動走行、ドローン(3年以内のドローン配送実現)
  • FinTech(フィンテック(ITを駆使し、新たな金融サービスを生み出す等の動き))
付加価値
2020年に
30兆円
世界最先端の
健康立国へ
  • 健康・予防に向けた保険外サービス促進(4兆円の市場創出)
  • ロボットやセンサーを活用した介護の負担軽減
市場規模
2020年に
26兆円
環境エネルギー制約
の克服と投資拡大
  • 省エネ(産業トップランナー制度を3年で全産業の7割に拡大、中小企業の支援)
  • 燃料電池自動車の本格的普及など水素社会の実現
エネルギー
関連投資
2030年度に
28兆円
スポーツの
成長産業化
  • スポーツ施設の多機能化、スポーツとIT・健康・観光・ファッション等との融合・拡大
市場規模
2025年に
15兆円
既存住宅流通・
リフォーム市場の
活性化
  • 資産価値を評価する流通・金融等の仕組み構築
市場規模
2025年に
20兆円
ローカルアベノミクスの深化
官民戦略10分野 主な内容 数値目標
サービス産業の
生産性向上
  • 生産性伸び率を2%へ倍増
  • 固定資産税軽減、地域金融支援
付加価値創出
2020年に
410兆円
農業改革・輸出促進
  • 農地集約、生産資材のコスト低減、農産品の流通構造改革
  • スマート農業、産業界と農業界の連携体制構築
6次産業市場
2020年度に
10兆円
観光立国
  • 地域観光経営の推進、観光経営人材の育成
外国人
旅行消費額
2030年に
15兆円
スポーツの
成長産業化
  • スポーツ施設の多機能化、スポーツとIT・健康・観光・ファッション等との融合・拡大
市場規模
2025年に
15兆円
2020年オリンピック・
パラリンピックに向けた
見える化プロジェクト
活性化
  • 公的サービス・資産の民間開放拡大
10年間で事業規模を12兆円に拡大
国内消費マインドの喚起
官民戦略10分野 主な内容 数値目標
官民連携による
消費マインド喚起策等
  • プレミアム商品券発行
規制・制度改革
  • 規制改革、行政手続簡素化・IT化
人材育成・活用
  • 高度人材の永住権を緩和
海外成長市場取り込み
  • インフラシステム輸出の拡大(2020年に約30兆円

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