金融市場NOW
日銀短観(2016年3月調査)の概要
2016年04月05日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
大企業の業況判断DI 製造業・非製造業ともに悪化
日銀が4月1日に発表した2016年3月(調査期間は2月25日~3月31日)の短観(全国企業短期経済観測調査)は、企業の景況感を示す業況判断DI(景況感が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いた値)が、大企業ベースで製造業・非製造業ともに前回(2015年12月)調査より悪化しました。以下、概要です。
- 大企業製造業の業況判断DIはプラス6。前回を6ポイント下回り、2013年6月以来2年9ヵ月ぶりの低水準。新興国経済の鈍化や円高の進行等を背景に、輸出企業の景況感の悪化が目立つ。大企業非製造業の景況感もプラス22と、個人消費の弱さ等を背景に前回から3ポイント悪化(表1、グラフ1)。
- 先行きについても慎重な見方が広がりつつあり、大企業製造業の先行き判断は現状から3ポイント悪化、非製造業は5ポイント悪化(表1、グラフ1)。
- 円高進行等により、大企業製造業の2015年度経常利益見通しは前年度比3.5%減益と、3ヵ月前より6.6%下方修正。大企業非製造業は、2015年度は前年度比11.9%の増益を見込むものの、2016年度は円高による訪日外国人の減少懸念等を背景に2.1%の減益に転じるとの見通し(表2)。
- 大企業製造業の2016年度の想定為替レート(対米ドル)は117.46円。現状の112円前後に比べ、5円程度円安の水準。
- 大企業全産業の2015年度設備投資計画(含む土地投資、除くソフトウェア投資)は前年度比プラス9.8%と、2007年3月期調査 (プラス11.9%、2006年度計画)以来の高い伸び。2016年度計画※は前年度比マイナス0.9%のスタートとなったが、前年3月期時点(同マイナ ス1.2%)に比べるとマイナス幅は縮小(表3)。
- 同計画は年度後半にかけて上方修正される傾向がある。
表1:業況判断DI(2016年3月)
(「良い」-「悪い」、ポイント)
2015年12月調査 | 2016年3月調査 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
最近 | 先行き | |||||
最近 | 変化幅※1 | 変化幅※2 | ||||
大企業 | 製造業 | 12 | 6 | -6 | 3 | -3 |
非製造業 | 25 | 22 | -3 | 17 | -5 | |
全産業 | 18 | 13 | -5 | 11 | -2 | |
中堅企業 | 製造業 | 5 | 5 | 0 | -2 | -7 |
非製造業 | 19 | 17 | -2 | 9 | -8 | |
全産業 | 14 | 12 | -2 | 5 | -7 | |
中小企業 | 製造業 | 0 | -4 | -4 | -6 | -2 |
非製造業 | 5 | 4 | -1 | -3 | -7 | |
全産業 | 3 | 1 | -2 | -4 | -5 |
表2:大企業の経常利益見通し
(前年度比、%)
大企業 | 2015年度 (計画) |
2016年度 (計画) |
|
---|---|---|---|
修正率※3 | |||
製造業 | -3.5 | -6.6 | -1.9 |
(内)素材業種 | 3.0 | -5.4 | -5.9 |
(内)加工業種 | -5.8 | -7.0 | -0.4 |
非製造業 | 11.9 | 1.9 | -2.1 |
全産業 | 3.9 | -2.4 | -2.0 |
表3:大企業の設備投資計画
(前年度比、%)
大企業 | 2015年度 (計画) |
2016年度 (計画) |
2015年度※4 (計画) |
|
---|---|---|---|---|
製造業 | 13.3 | 3.1 | 5.0 | |
非製造業 | 8.1 | -2.9 | -4.1 | |
全産業 | 9.8 | -0.9 | -1.2 |
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