金融市場NOW
国内雇用・賃金・個人消費動向
2016年02月26日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
国内雇用動向
企業業績の回復等を背景に、国内雇用環境の改善が続いています。求職者1人当りに企業から何件の求人があったかを示す有効求人倍率は2015年12月時点で1.27倍と、1991年12月(1.31倍)以来約24年ぶりの高さとなっています。一時期5%を超えていた失業率も足元は3%前半まで低下しています(グラフ1)。また、2015年の正規社員数(前年比)は約26万人増と8年ぶりの増加に転じ、非正規社員の増加数約18万人を上回っています(グラフ2)。
賃金動向
賃金引上げの動き等を背景に、名目賃金の動向は比較的堅調なようです。企業が支払う雇用者報酬額(名目額)が増加傾向を続けています。2015年の同金額は約255兆円と、リーマン・ショックのあった2008年水準近くまで回復しています(グラフ3)。
しかし、物価変動の影響を除いた実質ベースでみると、様相が変わってきます。2015年の物価上昇分(持家の帰属家賃を除く物価上昇率1%)を差し引いた実質賃金は0.9%減と、4年連続のマイナスとなっています(グラフ4)。
個人消費動向
2015年の2人以上世帯の実質消費支出は前年比2.3%減と、2年連続で前年を下回りました(グラフ5)。また、2015年10~12月期の実質家計消費支出額は約245兆円と、消費増税に備えた駆け込み需要が本格化する前の2013年10~12月期に比べて約4.3%少ない水準となっています(グラフ6)。
勤労者世帯(2人以上世帯)の2015年の平均消費性向(可処分所得の内、消費に回した割合)は、前年に比べて1.5ポイント低下しています。低下幅は2006年の2.2ポイント以来の大きさです(グラフ7)。
経済の好循環実現のカギを握るとされる個人消費ですが、2014年4月の消費増税の影響からは抜け出せていないようです。その主な要因としては、物価上昇分を差し引いた実質賃金の前年比伸び率がマイナスを続けていること(グラフ4)、非消費支出(社会保険料等)の実収入に対する割合が増加し、その支払い負担が重荷となっていること等が挙げられています(グラフ8)。
個人消費が再び勢いを取り戻すのか。賃上げを巡る春の労使交渉の行方、「一億総活躍社会」の実現に向けた「同一労働同一賃金」(同じ内容の仕事であれば正規・非正規にかかわらず同じ賃金をもらえるようにするという考え方)に関する議論の行方等が注目されます。
金融市場動向
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