金融市場NOW
国内物価と日銀の金融政策
2015年09月17日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
原油や鉄鉱石等、資源価格の下落(グラフ1)が国内の企業物価(※)にも波及してきたようです。
2015年8月の企業物価(前年同月比)は3.6%の下落となりました。2013年4月以降今年3月まで上昇していた企業物価(同)は、4月から下落に転じており、かつその幅は拡大傾向となっています。
8月の企業物価を需要段階別にみると、「素原材料」が25.2%、素材を加工した「中間財」が4.2%とそれぞれ前年同月と比べて低下し、その幅も前月より拡大しています。完成品である「最終財」は、円安による輸入品の価格上昇等により1.0%上昇していますが、そのペースは鈍化傾向です(グラフ2.、3)。今後、中国の景気減速等による物価の押し下げが予想されることから、企業物価は下落幅を拡大させることも考えられます。企業物価の下落を受けて、消費者物価に対する低下圧力が徐々に強まることも想定されます(グラフ4)。
黒田日銀総裁は2013年4月に、消費者物価上昇率2%(消費増税の影響除く)の達成を今後(当時)2年程度のできるだけ早い時期に実現するという目標を掲げ、黒田バズーカと呼ばれる「量的・質的金融緩和」政策を開始しました。しかし、現在までその実現には到っていません。足元の物価動向等から判断すると、その時期は更に遠のくことも考えられます。
今回(2015年14~15日)の日銀金融政策決定会合では、年80兆円の資金を市場に供給するという現行の金融政策を据え置くことが決定されましたが、今後の物価動向等によっては追加の金融緩和策を求める声が大きくなる可能性もありそうです。
- 企業物価指数:企業間で取引される商品の価格に焦点を当てた物価指数(従来の卸売物価指数に相当)。
金融市場動向
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