金融市場NOW

対内・対外証券投資動向

2015年08月17日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

国内投資家の外国証券投資が拡大しています。2015年上半期(1~6月)の対外証券投資額(ネット)(国内投資家による外国証券の買越額)は約14.7兆円と、上半期だけで昨年の年間買越額約12.1兆円を超えています。特に外国株式の買越額が過去(1996年の統計開始以降)最高の約10.6兆円と、昨年の年間買越額(約6.6兆円)の約1.6倍に膨らんでいます。一方、外国債券の買越額は約4.1兆円と、外国株式の4割程度となっています(グラフ1)。日本や欧州等の金融緩和により国債利回りが低水準に留まる中、相対的にリスクは高いものの、高い収益も期待できる株式に資金が向けられている可能性もあります。

  • 株式は投資ファンド持分含む(以下同じ)。

2015年上半期の対外証券投資額(ネット)(グラフ1)は、対内証券投資額(ネット)(海外投資家による日本証券の買越額)(グラフ2)を上回っています(グラフ3)。国内投資家による外国証券への投資が円安基調を継続させる一因となっているとの見方もあります。

今年上半期の国内投資家による外国株式の買越額は昨年同期に比べて約9.5兆円増加しています。地域別の増加額トップはケイマン諸島等租税回避地を含む中南米です。また海外投資家による日本の株式の買越額は同期間で約5.4兆円増加しています。増加額の大半を欧州が占めています。欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和開始等により生じた資金が、企業業績の改善等が期待される日本株に流入しているものと思われます(表1)。

グラフ1:対外証券投資(ネット)動向

出所:財務省データを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:対内証券投資(ネット)動向

出所:財務省データを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ3:(対外-対内)証券投資(ネット)動向

出所:財務省データを基にニッセイアセットマネジメントが作成

表1:株式に関する地域別投資動向

(単位:兆円)

※1 中南米にはケイマン諸島等租税回避地含む
※2 各上半期欄のマイナス符号は処分(売却)額が取得(買入)額を上回ったことを示す
出所:財務省データを基にニッセイアセットマネジメントが作成
地域 対外証券投資 (ネット) 株式・投資ファンド持分 2014年上半期(1) 対外証券投資 (ネット) 株式・投資ファンド持分 2015年上半期(2) 増減 (2)-(1) 対内証券投資 (ネット) 株式・投資ファンド持分 2014年上半期(3) 対内証券投資 (ネット) 株式・投資ファンド持分 2015年上半期(4) 増減 (4)-(3)
アジア 0.2 0.7 0.6 0.7 0.8 0.1
北米 -0.6 2.0 2.6 0.1 0.9 0.8
中南米 1.6 5.4 3.8 -0.0 -0.0 -0.0
大洋州 -0.1 0.3 0.3 0.0 0.0 -0.0
欧州 -0.1 2.0 2.1 -1.7 2.7 4.5
その他 0.1 0.2 0.1 0.0 -0.0 -0.0
合計 1.1 10.6 9.5 -1.0 4.4 5.4

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