金融市場NOW
エシカル(倫理的)消費普及のカギとは
2017年05月26日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
市場は拡大傾向にあるも認知度は横ばい
- 社会貢献につながるエシカル商品が増加し、国民の理解を広めるため消費者庁が調査を行っている。
- フェアトレード製品の販売増加により、多くの開発途上国の生産者の収入や生活環境が改善。
- 消費者の関心を呼ぶには、値段の配慮や品質・デザインの両立など企業の創意工夫が求められる。
社会貢献につながる「エシカル(倫理的)商品」が増えつつあります。
エシカル消費とは、有機栽培など環境に配慮した食品や途上国の不当労働などが行われていないフェアトレード(公正な貿易)製品などの購入を通じて、社会貢献に寄与する取り組みです。日本においても2015年5月より消費者庁が「『倫理的消費』調査研究会」を定期開催し、倫理的消費の内容やその必要性等について国民の理解を広め、日常生活での浸透を深めるためにどのような取組みが必要であるのか、調査・研究を行っています。
2015年時点において、国際フェアトレードの認証※を受けた製品の販売金額は約73億ユーロに達しました。特に、カカオ(対前年比27%増)、コーヒー(対前年比18%増)、バナナ(対前年比12%増)の販売額が増加しており(グラフ1)、これに伴い、開発途上国の生産者・労働者の収入や生活環境、および地域社会の改善が図られていることが報告されています。また、国連が同年に「持続可能な生産と消費の枠組みつくり」を新たな目標に掲げたことから、世界的にエシカルの関心が高まりつつあるようです。
日本では、政府や自治体の動きは活発ではあるものの、肝心の消費者の反応は鈍く、近年の消費は伸び悩んでいます。フェアトレード認証を受けた日本における製品市場は、2015年にようやく100億円に達したものの消費者の意識は低く、エシカルに対する認知度も横ばい圏が続いています(グラフ2)。エシカル商品は割高であることが多いため、欧州ではコストを企業で吸収することで売値を抑えているようです。今後、消費者の関心を呼ぶためには、値段に配慮しつつ、品質やデザインの良さを両立させていくことが求められます。企業の創意工夫や努力により得られる消費者の満足感が、エシカル消費を伸ばすカギとなりそうです。
- 製品(原料・素材)が、(1)生産者への適正な価格と長期的な取引、(2)生産者の社会的・経済的な発展、(3)生産物の品質と技術の向上、(4)生産者の労働環境と労働条件、(5)生産地の環境保全についての国際基準に従い、国際フェアトレードラベル機構により認証を受けている事を保証。
金融市場動向
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