金融市場NOW

ユーロ対円で約7ヵ月ぶりの安値

2015年11月27日号

金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。

進むユーロ安と低下する欧州金利

ユーロ安が進んでいます。11月24日の市場で、ユーロは対円ベースで約7ヵ月ぶりの安値をつけ、また対米ドルでも7ヵ月ぶりに一時1ユーロ=1.06米ドルを下回りました。

原油安等によるデフレ懸念に加え、パリ同時テロが消費者心理に悪影響を与える可能性もあることから、欧州中央銀行(ECB)が、12月3日の政策委員会で追加緩和に踏み切るとの観測が背景にあるものと思われます。ドラギECB総裁の「インフレ率を速やかに目標の2%弱にするために、ECBは必要な措置をとる」との発言も追加緩和に対する市場の期待を高めさせているようです。

追加緩和の手段としては、ECBの預金金利(民間銀行が過剰になった資金等を一時的にECBに預ける際の金利)を現行の-0.2%から-0.3%に引き下げる(マイナス金利:民間銀行がECBにお金を預けておくと損をする状態)、毎月の資金供給量を現在の600億ユーロから増額するといった予想も出ています。追加緩和観測を受け、欧州の金融市場では短期国債を中心に金利の低下が再び加速しています。

グラフ1:ユーロ(対円、対米ドル)推移

出所:ブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ2:ドイツとフランスの2年債金利推移

出所:ブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

ユーロの今後の見通し

足元のユーロ安はファンド等の投機筋が主導している側面もありそうです。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、11月17日時点の大口投機筋(非商業部門)によるユーロ売り・米ドル買い持ち高は建玉ベースで約16.4万枚、金額ベースで約205億ユーロ(約2.7兆円)と、約5ヵ月半ぶりのユーロ売り越し水準となっています。

ユーロ圏の経済指標の中には、失業率など改善傾向を示すものも出始めています。追加緩和が決定された場合は、当面の材料出尽くしとの判断から、ユーロが対米ドル等で大きく買い戻される可能性もありそうです。

グラフ3:ユーロ(対米ドル)ネット建玉残高等推移

※IMM通貨先物(ユーロ/対米ドル)、大口投機筋(非商業部門)対象
出所:ブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

グラフ4:ユーロ圏失業率と消費者物価(前年比)推移

出所:ブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成

金融市場動向一覧へ

「金融市場動向」ご利用にあたっての留意点

当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。

【当資料に関する留意点】

  • 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
  • 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
  • 手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。
  • 投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。