金融市場NOW
ユーロ圏物価下落と追加金融緩和観測
2015年10月09日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
6ヵ月ぶりに再びマイナス圏に逆戻りしたユーロ圏の物価
ユーロ圏の物価が、今年3月以来となるマイナス圏に再び逆戻りしています。ユーロ圏の9月の消費者物価指数は、原油安によるエネルギー価格下落が主因で前年同月比0.1%の下落となりました。
欧州中央銀行(ECB)は、物価の引上げ・デフレからの脱却を目指し、毎月600億ユーロ(約8兆円)規模の市場への資金供給を今年3月に開始しました。2014年12月から2015年3月にかけ4ヵ月連続で下落していた消費者物価(前年同月比)は、この量的緩和策の効果もあってマイナス圏を脱していました。
ECBのドラギ総裁は、デフレ懸念が再び高まれば追加緩和策の発動も辞さない考えを示していますが、足元のユーロ圏経済は底堅く推移しています。2013年に一時12%台まで悪化した失業率も、今年8月時点では11.0%と上昇に歯止めがかかっています。中国発の世界景気減速懸念から金融市場に混乱が広がった9月、ユーロ圏の景況指数は4年ぶりの高水準を記録しています。物価はマイナス圏に陥りましたが、原油価格の下落に一服感が出始めていることもあり、ECBは当面現状の金融政策を維持するものと思われます。
しかし一方で、そのユーロ圏景気の支援材料のひとつであるユーロ安・米ドル高の流れに変化が生じる可能性が出てきました。これまでのユーロ安を支えてきた米国の早期利上げ観測が、9月米雇用統計等減速を懸念させるような経済指標の発表で後退し始めています。
ユーロ高・米ドル安が進行する、物価下落が連続する、足元好調な経済指標に変調の兆しが表れると言ったような場合には、ECBの追加金融緩和観測が高まる可能性もあります。
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