金融市場NOW
2021年度の原油需給はほぼ均衡する見込み
2021年01月26日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
景気回復に伴う需要増とOPECプラスの協調減産縮小等により価格は横ばいか
- 景気回復による需要増や協調減産による供給減を背景に、原油価格はコロナ前の水準まで値を戻す。
- EIAの見通しでは2021年度の需給バランスはほぼ均衡。
- OPECプラスの想定以上の減産縮小や景気回復の遅延により原油価格が再び低迷する可能性も。
原油価格は景気回復期待等でコロナ前の水準に
WTI原油先物価格は新型コロナウイルス感染拡大による市場の混乱の影響等から、2020年4月には一時マイナスを記録しました。感染状況が落ち着きを見せていた2020年7~9月期以降、世界経済の回復に伴う需要増や、OPEC(石油輸出国機構)と非OPECの主要産油国で構成されるOPECプラスによる協調減産等を背景に、原油価格は緩やかな上昇基調となっています。足元では、感染拡大前の2020年2月の水準まで値を戻しています(グラフ1)。
EIAは需要と供給はほぼ均衡する見通しを公表
EIA(米国エネルギー情報局)が公表した最新の見通しによれば、1月のOPECプラスの会合でサウジアラビアが原油市場安定化を目的として2月と3月に日量100万バレルを自主的に減産すると公表したこと等を受けて、1~3月期は需要が供給を日量約250万バレル上回る見込みとなっています。
世界最大の産油国である米国で原油価格の上昇と歩調を合わせて掘削リグ(地下に眠る石油・天然ガス採取用の井戸を掘る装置)稼働数が増加し、原油生産量の増加が見込まれることやOPECプラスの協調減産量が徐々に縮小すると見込まれることから、2021年度(2021年1月~12月)の原油供給量は徐々に増加すると見られ、需要が供給を上回るのは日量約20万バレル程度となる見通しです(グラフ2)。
現行水準での推移を見込むが、下落リスクも
2021年度は景気回復に伴う需要増と米国やOPECプラスの増産による供給増がほぼ拮抗することが見込まれており、原油先物価格は現行の1バレル50ドル台前半近辺での推移が想定されます。しかし、OPECプラスによる想定以上の増産や景気回復後ずれが起きた場合には再び原油価格が低迷する可能性も考えられます。
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