金融市場NOW
豪州経常収支 5四半期連続黒字
2020年09月14日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
貿易黒字増加による経常黒字の定着が、豪ドル相場を下支え
- 豪州の2020年4-6月期の経常収支は177億豪ドルとなり、5四半期連続の黒字。
- 鉄鉱石価格の上昇などで貿易収支が過去最高額となったことが主因。
- 足元の豪ドル相場は年初来高値圏で推移。経常黒字の定着化は、実需面から豪ドル相場の下支え要因に。
経常収支は5四半期連続の黒字となる
豪州統計局が9月1日に公表した2020年4-6月期の経常収支は177億豪ドルとなり、5四半期連続の黒字となりました(グラフ1)。経済活動の再開にともない、資源需要が高まったことなどから、貿易収支が過去最高額となったことが、主な要因であると考えられます。
鉄鉱石価格の上昇で貿易黒字が過去最高額に
貿易黒字が過去最高額となった主因として、豪州の主要輸出品目である鉄鉱石価格の上昇が考えられます(グラフ2)。鉄鉱石価格の上昇の背景には、豪州と同じく世界有数の産出国であるブラジルの産出量が、経済活動の停滞で大幅減少していることなどが挙げられます。豪州鉄鉱石の最大の輸出先である中国政府は、景気支援策としてインフラ投資を推進していることなどから、今後も旺盛な需要を背景に、鉄鉱石価格は高水準で推移することが期待されます。ただし、足元の通商摩擦問題による両国のさらなる関係悪化や、経済活動再開によるブラジルの増産などは、鉄鉱石価格や輸出量に影響を与えることもありそうです。
経常黒字が豪ドル相場の下支え要因に
足元の豪ドル相場は、米国の低金利環境の継続期待を受けたドル安などを背景に、コロナ禍での下落分を取り戻し、年初来高値圏で推移しています(グラフ3)。一方で、豪州準備銀行(RBA)も当面の間、史上最低水準の低金利政策を続ける方針を示していることなどから、このまま豪ドルが上昇し続けることは想定しにくいと考えます。
一方、仮に堅調な鉄鉱石価格や貿易黒字額の増加基調が維持されれば、経常黒字の定着が実需面でのサポート材料となり、豪ドル相場は堅調に推移することも期待できそうです。
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