金融市場NOW
ドイツ 経済活動正常化に向け前進
2020年05月22日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
景気の早期回復期待から株価は上昇トレンド
- メルケル首相は、新型コロナウイルス感染拡大にともなう経済的制限措置の大幅緩和を公表。
- 4月の製造業PMIは経済活動の停滞から大きく低下。経済活動の再開により今後は回復基調へ。
- 景気回復期待から株価は上昇。感染第2波への警戒などから景気に対する楽観的な見方を懸念する声も。
大幅な制限緩和に経済正常化への期待高まる
ドイツのメルケル首相は5月6日、新型コロナウイルス感染拡大にともなう経済的制限措置を大幅に緩和すると公表しました。感染者数の増加ペースが4月より緩やかになっており(グラフ1)、3月より罰則を付した外出規制や医療体制の整備等を行うなど、早期の対策が功を奏したとものとみられます。同国は4月中旬より制限の一部緩和を進めてきました。飲食店を含む店舗の営業再開などを含む制限緩和は欧州の中でもいち早く、EU(欧州連合)のGDP(国内総生産)のおよそ30%を占める経済大国に、正常化への道筋が見え始めています。
4月の製造業PMIは大幅に低下
4月のドイツ製造業PMI(購買担当者景気指数)は、3月の45.4から大幅に低下し34.5となりました。米中貿易摩擦による中国向け輸出の縮小や、英国のEU離脱問題を受けた通商政策の不透明感などを背景に、同国の製造業PMIは、2019年初より好況の節目である50を下回る水準で推移してきました。2020年初の米中貿易協議の第一段階合意を経て回復基調にあったものの、新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済活動の停滞から、再び大きく低下となりました(グラフ2)。しかし、経済的制限措置の大幅緩和により、4月を底に回復基調となりそうです。
景気の回復期待からドイツ株式は上昇基調
今後6ヵ月先の景況感を表すとされるZEW(ドイツ欧州経済センター)景気期待指数も、経済活動が再開され、最悪局面を脱したとの見方が広がったことなどから4月の-49.5から5月は28.2と大幅改善となりました。他の欧州諸国の株価の高値からの戻り値が7割程度にとどまるのに対し、ドイツ株式は8割まで回復しています※。しかし、感染第2波への警戒感、失業率の高まりや経営破綻の増加などから、景気の先行きに対する楽観的な見方を懸念する声もあるようです。
- 直近高値と5月21日時点の株価を比較
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