金融市場NOW
日銀短観(2018年12月調査)の概要
2018年12月18日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
大企業製造業DIは4期ぶりに下げ止まったものの、先行きは不透明
日本銀行が12月14日に発表した2018年12月の全国企業短期経済観測調査(短観、12月調査)は、大企業・製造業、非製造業ともに市場予想を上回る結果となりました。しかしながら、米中貿易摩擦懸念等から、将来の海外景気には不透明感が根強く、先行きは悪化することが見込まれています(表1)。以下、ポイントです。
- 大企業製造業の業況判断指数(DI)は、前回調査と同じくプラス19と横ばいとなり、4期ぶりに下げ止まりました。石油・石炭製品などの素材業種が改善した一方で、生産用機械などの加工業種が悪化しました。先行きについては、米中貿易摩擦の影響等による海外の需要減速が意識されており、輸出企業を中心に景況感の悪化が見込まれています。
- 大企業非製造業のDIはプラス24と前回調査から2ポイント改善しました。建設等の景況感が悪化した一方で、通信、運輸・郵便等の景況感が改善しています。先行きについては、製造業と同じく景況感の悪化が見込まれています。
- 雇用人員判断DIは、全規模・全産業でマイナス35と前回調査から2ポイント人手不足感が強まっています(グラフ1)。中小企業(全産業)のマイナス39という数値は、1991年8月調査(1997年3月より調査時期を変更)のマイナス40以来の水準であり、人手不足が深刻化しています。
- 事業計画の前提となる2018年度の大企業製造業の想定為替レートは109.41円と、前回調査時より約2円円安・米ドル高方向に修正されました(表2)。12月14日午前の為替相場より約4円円高・米ドル安の想定となっており、現状の為替水準が継続した場合、企業収益の押し上げ効果が期待できそうです。
表1:業況判断DI(2018年12月)
(「良い」-「悪い」、ポイント)
2018年9月調査 | 2018年12月調査 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
最近 | 最近 | 先行き | ||||
変化幅(*1) | 変化幅(*2) | |||||
大企業 | 製造業 | 19 | 19 | 0 | 15 | -4 |
非製造業 | 22 | 24 | 2 | 20 | -4 | |
全産業 | 21 | 21 | 0 | 18 | -3 | |
中堅企業 | 製造業 | 15 | 17 | 2 | 11 | -6 |
非製造業 | 18 | 17 | -1 | 13 | -4 | |
全産業 | 17 | 17 | 0 | 12 | -5 | |
中小企業 | 製造業 | 14 | 14 | 0 | 8 | -6 |
非製造業 | 10 | 11 | 1 | 5 | -6 | |
全産業 | 12 | 12 | 0 | 6 | -6 |
表2:想定為替レートは円安米ドル高水準に修正
(円/米ドル)
2018年度 | |||
上期 | 下期 | ||
2018年9月調査 | 107.4 | 107.52 | 107.29 |
2018年12月調査 | 109.41 | 109.56 | 109.26 |
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