金融市場NOW
米国投資家が海外証券を大幅売り越し
2018年08月23日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
2018年4~6月期の売り越し額は四半期ベースでは過去最高
- 米財務省の国際証券投資統計によると、2018年4~6月期の米国投資家の海外証券投資は1,057億米ドルの売り越しとなる。1977年の統計開始以来、四半期ベースでは過去最大の売り越し。
- 同期間の米国投資家の新興国証券投資も売り越しとなったが、金額は2017年10~12月期の4分の1程度。新興国から米国への資金流出の加速は、2018年4~6月期時点では認められない。
8月15日に米財務省より発表された国際証券投資統計(TICデータ)によると、2018年4~6月期の米国投資家の海外証券投資(株式と債券合計、以下同じ)は1,057億米ドル(約11.7兆円)(株式257億米ドル、債券799億米ドル)の売り越しとなりました(新興国含む)。四半期ベースの売り越し額としては、1977年の統計開始以降で過去最大です。
5月に米10年国債金利が一時約7年ぶりとなる3.1%台に上昇したことや、6月にトランプ米大統領が中国からの輸入品500億米ドルに対し25%の追加関税を課すことを発表したこと等を背景に、米国投資家が海外からの資金回収を急いだ可能性があります。
2018年4~6月期の米国投資家の新興国※証券投資は20億米ドル(約2,200億円)の売り越しとなりました。債券を35億米ドル売り越す一方、株式は15億米ドル買い越しました。株式の買い越しは12四半期(3年)連続となっています。
米金利上昇により新興国から米国への資金流出が速まるとの懸念もありますが、2018年4~6月期の米国投資家の売り越し額は直近ピークである2017年10~12月期の4分の1程度に留まっています。
- ブラジル、ロシア、インド、中国、マレーシア、インドネシア、タイ、トルコ、メキシコ、南アフリカの合計
2018年4~6月期の海外投資家の米国証券投資は26億米ドル(約2,900億円)の売り越しとなりました。売り越しは2016年10~12月期以来6四半期ぶりです。
債券を450億米ドル買い越す一方、株式は476億米ドル売り越しました。株式の売り越し額は過去最高です。米中貿易摩擦の悪化懸念等を背景に株式の持ち高を調整したものと思われます。
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