金融市場NOW
英国中央銀行 0.25%利上げへ
2018年08月08日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
堅調な英経済を評価、金融政策正常化へ
- 英イングランド銀行(中央銀行)が政策金利を現行の0.50%から0.25%引き上げ、0.75%とした。
- 英国の経済は中央銀行の見通しに沿い順調であると評価し、インフレの事前抑制を図る。
- 欧州連合(EU)からの離脱は難航しており、結果次第では景気下支え策が必要となる可能性も。
英イングランド銀行(中央銀行)は8月2日、政策金利を0.25%引き上げ、現行の0.50%から0.75%にすることを9対0の全会一致で決定しました。利上げは2017年11月以来9カ月ぶりで、政策金利は2009年2月の1.0%以来、およそ9年半ぶりの高い水準となりました(グラフ1)。2016年の欧州連合(EU)からの離脱(ブレクジット)の是非を問う国民投票以降、英国の経済成長は鈍化傾向にあり、一部では離脱を巡る先行き不透明感が強い中での利上げを疑問視する見方もありました。中央銀行は英国の経済は見通しに沿い順調であると評価し、インフレ抑制のための利上げに踏み切ったようです。一方、今後については2019年に控えるEU離脱の明確な方針が定まらない中、一段の利上げは急がないという姿勢を示しました。
同時に公表された四半期のインフレ報告では、7~9月期(前年同期比)ベースで2018年と2019年の消費者物価指数(CPI)の上昇率見通しを2.5%、2.2%と、それぞれ前回5月から0.1ポイントずつ引き上げるとともに、2020年は2.1%と中央銀行が目標とする水準程度にまで落ち着くと予想しました。経済成長率については世界の成長率予想は下方修正しましたが、英国は概ね据え置きとし、7~9月期(前年同期比)ベースで2018年は1.5%、2019年は1.8%、2020年は1.7%になると予想しました。2020年は前回の予想を据え置いたものの、2019年については1.7%から上方修正しました(グラフ2)。中央銀行は、利上げは限定的かつ段階的になるとの文言を繰り返し、前回と同様に1年に1回程度の利上げで十分であるとの認識を示しています。しかし、EUからの離脱交渉が難航していることから、今後の交渉の結果次第では利下げをなどの景気下支え策が必要となるかもしれません。
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