金融市場NOW
世界の製造業景況感ピークアウトか
2018年04月24日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
企業業績は堅調な中、景況感を示す指数が低下基調に
- 世界の景気動向を示す3月のグローバル製造業PMIが、昨年末をピークに低下基調となり、ドイツの4月景気期待指数は2012年以来の弱い数値に。
- 景況感悪化の中でも、増益が予想される企業業績への期待から株価は概ね堅調に推移。景況感悪化の背景に米中の貿易問題が想定される中、今後のマーケットへの影響を注視していく必要がある。
3月のグローバルPMIが低下。世界の景況感はピークアウトしたか
世界の景気動向を示す3月のグローバル製造業PMI(購買担当者指数)が昨年10月以来の低さとなり、昨年末をピークに下落しました。出荷、新規受注、雇用で弱い数値となりました。欧州経済をけん引するドイツにおいても製造業PMIは今年に入り下落傾向にあります。ドイツ研究センター(ZEW)が4月17日に発表した4月の景気期待指数は-8.2と3月の+5.1から低下し、2012年以来の低水準となりました。一方で、世界の工場と言われる中国においては国家統計局が発表した3月の製造業購買担当者指数はやや上昇し市場予想を上回りました。4月17日発表された中国の1~3月期のGDP(国内総生産)は前年同期比で+6.8%となりましたが、GDPの実態を知る上でより重要な指数とされる李克強指数(産業活動にとって重要な銀行の貸出残高の成長率や電力消費、鉄道輸送の活動を合成化した指数)は下降傾向にあります。各国の緩和的な金融政策のもとで世界経済は順調に成長してきましたが、経済指標はピークアウトの兆候が見え始めています。
景況感は悪化を示す中でも株価は堅調
ドイツの指数の低下は、欧州中央銀行(ECB)が年内に金融政策の正常化を進め、債券買い入れ策を終了し、2019年に利上げに向かうとの観測が景況感の悪化につながっているものと見られます。また中国については、3月のデータ公表時点では米中の貿易問題が指標に反映されていない可能性もあります。4月18日に発表された米国のベージュブック(地区連銀経済報告)においても貿易問題による金属価格などの上昇が報告されています。金属価格の上昇が、今後自動車販売価格の上昇へと広がり販売台数への影響も懸念されます。その様な状況においても株式市場は概ね堅調に推移しています。米国企業の2018年1~3月期決算発表が始まっていますが、主要500社の1株あたり利益は前年同期比で約+20%と高い伸びが予想されており、法人減税政策による恩恵が利益を押し上げるものと期待されています。欧米での金融政策正常化について議論の開始が囁かれだしてはいるものの、世界的には緩和的な金融政策が継続しています。経済大国である米中の貿易問題の悪化が、今後企業活動へどの程度影響するか確認していく必要がある上、堅調な企業業績の中でも貿易問題の長期化が、投資家心理やマーケットへどういった影響を与えるかを注視していく必要があります。
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