金融市場NOW
米国証券投資統計(2017年12月)
2018年02月28日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
海外投資家は米国株式の買入れを積極化
- 2017年12月の海外投資家の米国株式の買越額はリーマン・ショック前の2007年5月以来の高水準。一方、米財務省証券(国債)については売り越しを継続。
- 米国投資家は海外(新興国を含む)株式を2ヵ月ぶりに買い越す。海外債券は25ヵ月連続売り越しとなるも、売り越し額は前月より減少。新興国については株式売り越し、債券買い越しとなった。
米財務省が2月15日に公表した2017年12月の対米証券投資(TIC)統計の概要は以下の通りです。
海外投資家の米国株式・債券投資状況(海外→米国)
海外投資家は米財務省証券(国債)を160億ドル(約1.7兆円※1)売り越しました。3ヵ月連続の売り越しで、この間の売り越し額は571億ドル(約6.1兆円)となっています。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを加速させるとの懸念等が背景にあるようです。一方、政府の関連機関が発行し、国債に比べて相対的に利回りの高い機関債については164億ドル(約1.8兆円)の買い越しで、9ヵ月連続買い越しを続けています。国債、機関債、社債合計では8億ドルの売り越しで、前月の221億ドル(約2.4兆円)の買い越しから一転して売り越しに転じています。
株式は351億ドル(約3.8兆円)の買い越し。同金額はリーマン・ショック前の2007年5月の420億ドル(約4.5兆円)以来の高水準、買い越しは4ヵ月連続です。2017年は6~8月の3ヵ月を除くすべての月で買い越しています。
米国投資家の海外(新興国※2含む)株式・債券投資状況(米国→海外)
米国投資家は海外株式を83億ドル(約0.9兆円)買い越す一方、債券は14億ドル(約0.1兆円)売り越しました。合計では70億ドル(約0.7兆円)の買い越しで、買い越しは5ヵ月ぶりです。債券の売り越しは25ヵ月連続ですが、売り越し額は前月の213億ドル(約2.3兆円)から大きく減少しています。
米国投資家の新興国株式・債券投資(米国→新興国)
米国投資家の新興国への投資は、株式が0.1億ドル(約10億円)の売り越し、債券が32億ドル(約0.3兆円)の買い越しとなりました。株式は2ヵ月連続の売り越し、債券は5ヵ月ぶりの買い越しで、債券と株式合計では前月の66億ドル(約0.7兆円)の売り越しから32億ドル(約0.3兆円)の買い越しに転じています。米金利の上昇で金融緩和政策により大量にあふれ出た資金が米国に還流し、新興国経済にもダメージを与えるとの見方もあります。しかし、2017年12月時点では米国投資家は米金利上昇が新興国に与える影響をそれほど懸念していないようにも見受けられます。
- 1ドル=107円で換算
- ブラジル、ロシア、インド、中国、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、トルコ、メキシコ、南アフリカの合計
金融市場動向
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