金融市場NOW
製造業の労働生産性 最低水準に
2018年01月22日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
1995年以降で過去最低
- 日本の製造業の労働生産性は95,063米ドルとなり、OECD加盟国のなかでの順位は14位となる。
- 製造業の生産工程の海外移管の動きが、国内で生み出す付加価値の増加を制約する要因の1つか。
- 日本政府は、生産性向上に向けて、企業に対する法人減税策や優遇策を打ち出しはじめている。
日本生産性本部が2017年12月20日に公表した『労働生産性の国際比較2017年版』において、日本の製造業の労働生産性(従業員1人当たりの付加価値額)は95,063米ドルとなり、1995年以降で過去最低になったことがわかりました。また、OECD(経済協力開発機構)に加盟している主要29ヵ国のなかでの順位は14位となり(グラフ1)、1995年以降では2008年、2014年と並ぶ最低水準となっています。労働生産性は労働の効率性を計る尺度であり、労働生産性が高い場合は、投入された労働力が効率的に利用されているとみることができます。OECDデータに基づく今回の調査結果は、昨今、対米ドルでの為替レートが円安傾向に振れていることから、米ドル換算でみた水準が押し下げられたことも影響しているようです。
日本の現在の水準はルクセンブルグの96,014米ドルとほぼ同水準にあたり、米国(139,686米ドル)の7割程度にとどまっています。日本は2000年までは主要国の中で1位となっていましたが、2000年代に入ると順位を大きく下げ、かつての優位性を失っています(グラフ2)。近年の日本を含む主要先進国で共通する事象として、製造業の生産工程の一部または全部を相対的に労働コストが低い新興国に移管する動きが加速していることから、製造業が国内で生み出す付加価値の増加を制約してしまう要因となっています。日本生産性本部は、この生産工程の海外移管が、生産性の動向にも影響していると指摘しており、日本政府は、生産性向上に積極的に取り組む企業に対する法人減税策や優遇策を打ち出しはじめています。
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