金融市場NOW
GPIF 債券でESG投資検討へ
2017年11月14日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
国内投資家のESG投資普及に弾みがつく可能性も
- GPIFは債券分野への投資を見据え、ESG投資について世界銀行グループと共同研究を始めると発表。
- 世界銀行グループと世界最大級の公的年金基金であるGPIFとの共同研究は、今後、多くの投資家の投資方針に影響を与えることも予想される。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は10月12日、債券分野への投資を見据え、環境保護や企業統治を重視する「ESG(環境・社会・ガバンナンス)投資」について世界銀行グループと共同研究を始めると発表しました。GPIFは今年7月に、国内株式へのESG投資を発表し、1兆円規模の投資を開始したばかりです。世界最大級の公的年金基金がESG投資への傾斜を強めつつあることで、欧米諸国に比べて規模面などで遅れをとる国内のESG投資の普及に弾みがつくことが予想されます。
株式に比べ、債券分野ではESGの研究・実践が進んでおらず、解決すべき課題が多いとされています。発表によると、持続的な投資の促進に向けた提携の最初の取り組みとして、ベンチマーク、ガイドライン、格付の手法、公表の枠組み、報告の雛形、リスク分析など、実務的な課題に関する共同研究を行っていくようです。同行との共同研究を通じて、2017年9月末時点で運用資産のおよそ43%を占める債券への投資の効果を見極めたうえ、来春にも研究成果を公表する見込みです(グラフ1)。
世界のESG投資の全運用残高に占める割合は、2016年時点で欧州がおよそ50%、米国がおよそ40%となっているものの、日本は2%程度にとどまっているのが現状です(グラフ2)。新興国支援や地球温暖化対策などを投資目的に、2008年度以降、合計で約49兆円の債券を発行し、ESG投資を促進してきた世界銀行グループと世界最大級の公的年金基金との共同研究は、今後、多くの投資家の投資方針に影響を与えそうです。
金融市場動向
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