金融市場NOW
日欧EPA交渉 大枠合意へ
2017年07月13日号
- 金融市場の動向や金融市場の旬な話題の分析と解説を行います。
欧州産チーズなどの輸入食品 消費者に恩恵
- 日本政府と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が7月6日に大枠合意に達した。
- 最大の焦点であったEU産ソフトチーズは製品ベースで3.1万トンまで低関税輸入枠の新設・拡大。
- 日欧両政府は残された課題等を詰め、議会の承認手続きなどを経て2019年初めの発効をめざす。
2013年より交渉が続けられてきた日本政府と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が、7月6日にブリュッセルにおいて大枠合意に達しました。
日本とEUの国内総生産(GDP)は世界全体のおよそ3割を占めるため(グラフ1)、日本にとっては、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と並ぶ最大規模の自由貿易協定が結ばれることになります。発効すれば、日本国内において、欧州産チーズやワイン、革製品などの値下がりが期待されます。今後、日本とEUは貿易品目の90%以上で関税を撤廃するとしていますが、具体的な合意内容については、ごく一部しか明らかにされていないため、実施に移され協定がまとまるまでには、まだなお時間がかかる見通しです。
交渉の焦点の1つであったEUによる日本製乗用車の関税を、協定発効後7年で撤廃する方針を固めました。これまで日本は5年以内、EUは10年程度を主張して対立していたため、中間で折り合うことになりました 。また、最大の焦点であったEU産チーズについては、カマンベールなどソフトチーズと呼ばれる一部チーズについて、協定発効1年目に2万トンの低関税輸入枠を設け、段階的に量を増やし16年目に製品ベースで3.1万トンまで拡大することとなりました(表1) 。
最終的な合意文書への署名は、今夏以降になるとみられています。日欧両政府は今後、残された課題等を詰め、議会の承認手続きなどを経て2019年初めの発効をめざす見込みです。
グラフ1:世界最大規模の自由貿易協定の締結なるか
表1:関税やルールにつき大枠合意
関税 | ルール | |
---|---|---|
日本側 | EU側 | |
チーズの低関税輸入枠の新設及び関税率の段階的引き下げ、16年目に撤廃 | 自動車関税を7年で撤廃 | 貿易の原則(内国民待遇など) |
豚肉の関税引き下げ | 自動車部品全品目の9割超で関税撤廃 | 税関手続きの簡素化 |
パスタなどの関税引き下げ・・・など | 電気製品(テレビなど)の関税を撤廃・・・など | 規格制度の日欧調和 |
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